サッカーの世界一を決定するワールドカップ2014ブラジル大会の開幕を目前に控え、中国でもサッカー一色のムードになっている。そんな中、国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター会長が山東省淄博市にある斉文化博物院に、中国が「サッカー発祥地」であるとする認定証を送る様子を捉えた画像が、英国の専門家を激怒させている。法制晩報が報じた。
英国の専門家は、古代中国には蹴鞠と呼ばれるボールを蹴るスポーツはあったが、それが今のサッカーにつながったとは信じられないと反発し、FIFAが認定証を発行したことに疑問を呈している。
10日、FIFAのメディア関係のスタッフは取材に対して、「現代のサッカーには100年以上の歴史があり、1863年にロンドンで設立されたフットボール・アソシエーション (The FA) の設立にその起源を持つ。しかし、科学的根拠があるサッカーの起源は、紀元前2-3世紀の中国にまで遡る」との見方を示した。
フランス通信社の報道によると、英国の歴史学家トム・ホランド氏は、「サッカーは19世紀に始まった。残念なことに、私はサッカーの古代の起源について何も知らない。理由は簡単で、その種の起源は存在しないから。何かを蹴って遊ぶというのは、よく見られるゲーム。世界各地の多くの民族がこの種のゲームを楽しんでいるだろう。しかし、彼らがサッカーの発明者であると証明することはできない」との見方を示している。
英国の専門家を激怒させているのは、FIFAが10年前に淄博市がサッカーの発祥地であると認定したことだ。
報道によると、斉文化博物院のサッカー博物館に展示されているサッカー発展の歴史を示した地図では、中国から伸びた細い線がエジプト、ギリシャ、ローマ、フランスをなぞり、最後にイングランドに到達している。サッカーの起源はイングランドにあり、試合のルールも19世紀にイングランドで形作られたという一般論に関して、同博物館は、「地図上の軌跡はサッカーの発展の道。ブラッター会長が署名した認定証は、中国がサッカー発祥の地であることを認めるもの」としている。
この見方に関して、英国の専門家は疑問を呈し、「蹴鞠と現代のサッカーには大きな差がある」と反論している。
英国スタッフォードシャー大学のカシュモア・エリス教授もフランス通信社の取材に対して、「そのようなルーツはこじつけで、成り立たない」と指摘している。