▽迷い:足りない実力 スター選手も現れず
アジアのチームは欧米のチームと比較して劣勢に立たされているだけでなく、アフリカのチームにも圧倒され始めている。今大会では、アジアのチームが史上初めてアフリカのチームに2敗を喫した。
イランチームを率いるポルトガル人のケイロス監督によると、アジアのチームに不足しているのは変化に対応する能力だという。「欧州の真似をしているだけでは駄目だ。欧州に近づいたと思った時には一歩先を越されている。欧州のサッカーも進歩しているからだ」
今大会では、スペインを代表とする正確なパス回しが、攻撃性と侵略性の高い新戦術の「逆襲」を受けた。メインストリームから遠いアジアのサッカーは当然、この流れに対する調整ができていない。パワフルなスタイルで知られる韓国は、韓国より韓国らしいサッカーをするアルジェリアに敗北した。技術力で見せる日本は、技術と身体を兼ね備えたコートジボワールに撃沈された。
中国代表の監督を務めたボラ・ミルティノビッチ氏は、「技術も戦術も遅れていて、スピードやリズムで世界のサッカーについて行けていない。アジアのサッカーは進歩しているが、その進歩はまだまだ足りない」と語る。
アジアのサッカーのいわゆる進歩は、主に欧州リーグで活躍する選手の増加に体現されている。今年1月、日本の本田圭佑がセリエAのACミランに加入し、英プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドの香川真司とともに、日本代表のフォワードの「デュアルコア」となった。韓国代表も23人のうち10人近くが欧州リーグでプレーしている。
だが欧州でプレーしている選手は多いが、スター選手にはなれていない。大きな期待がかけられて海外チームに加入した選手は、チームを引っ張る中心的な役割を担えておらず、チームが苦境にある時、方向を見失ってしまうだけではなく、内輪もめまで起こしている。
ミルティノビッチ氏は、「中田英寿や朴智星、アリ・ダエイ、カリム・バゲリなどの世代の選手が引退した後、次世代の選手たちはこれに匹敵するプレーをできていない」と指摘する。欧州サッカーのトップクラブで中心選手になれている選手はほとんどいない。
「重量級の大スターが出現しない限り、アジアのチームが歴史を刻むのは非常に難しい。アジアのサッカーの弱点だ」