2013年3月、スイスのヒーローグループが販売する「美素粉ミルク」の不正が発覚した。蘇州工場はラベルを貼り替え、包装を変更するなどの手段により、外国産粉ミルクのロットナンバーを偽り販売していた。さらに原産地の不明な輸入粉ミルク、期限切れの粉ミルクを使い乳児用粉ミルクを不法生産していた。同ブランドはすでに市場から姿を消している。
小売最大手のウォルマートは2011年9月に重慶市で、「有機豚」の偽装事件により処罰を受けた。重慶市工商局によると、ウォルマートの現地の店舗は2006−2011年に渡り、期限切れや不合格の食品の販売、虚偽の宣伝などの行為により21回の処罰を受けていた。杭州市のある店舗は今年5月、商品の生産日を書き換えたことで処罰された。
中国に上陸した海外ブランドは、品質に対して責任感を持っていない。ZARA、ヴェルサーチ、ルイヴィトン、バーバリー、アルマーニ、シャネル、ディオールなどの有名ブランドは、中国のサンプリング調査で品質不合格になったことがある。多くの有名アパレルブランドは、中国で統一的なコールセンターを設立しておらず、アフターサービスの提供や返品・交換の規定も非良心的だ。
上海汎洋弁護士事務所の劉春泉氏は、「中国の現行法が定める罰金は低すぎて、海外ブランドの度重なる不正行為の主因となっている。EUの場合、独占禁止法に違反した企業は、最高で年間売上の10%の罰金を支払わなければならない。ユニリーバとP&Gは2011年4月、洗濯用洗剤の価格を操作したことで、公正取引当局から3億2000万ユーロの罰金刑を課された」と指摘した。
これと比べると、一部の海外ブランドは中国で品質問題や詐欺事件を起こした場合も、数十万元(1元は約16.4円)の罰金で済み、まったく痛みを感じていない。中国最大級の罰金となったウォルマートの「有機豚」事件も、269万元の罰金に留まった。
専門家は、「一部の世界大手は中国進出後、自社の信頼を重視していないが、これはビジネス環境全体と関連している。消費者は海外ブランドを盲目的に信頼しており、中国の関連法にも健全化・厳格化の余地が残されている」と分析した。
上海市食品安全弁公室専門家チームのメンバーである沈建華氏は、「海外で同じような事件が発覚した場合、企業は再起の望みを絶たれる。巨額の罰金により資産を失うほか、提携先からも見捨てられる。中国ならば、企業は違反後も、新たに企業を登録設立し蘇ることができる。制度面の不備をなくし、企業の違反行為の再発を防ぐ必要がある」と警鐘を鳴らした。(編集YF)
「人民網日本語版」2014年7月23日