国家核安全局と国家エネルギー局、国防科学技術工業局はこのほど、「核安全文化政策声明」を共同で発表した。声明は、原子力発電所の建設は再び大規模発展の軌道に乗り、原子力技術の利用事業は急速発展の新たな時期に入ったとし、原子力の安全を確保する圧力は増大していると指摘した。人民日報が伝えた。
▽原発発展、中国の環境汚染減少の有効な手段に
中国では近年、煙霧現象が頻発しているが、大気汚染の主因は石炭の燃焼にある。原子力エネルギーは、低炭素で集中型のエネルギーであり、原子力発電による石炭発電の代替は、温室ガスの排出削減を大きく促進する可能性を持ち、中国の環境汚染を減らす現実的で有効な手段と言える。
中国工程院の院士で放射線防護と環境保護の専門家である潘自強氏によると、単純に比較はできないが、発電方法についての系統的な比較にあたっては、発電所そのものではなく、燃料チェーンに基づいた比較を行うことが重要となる。原子力発電について言えば、原子力発電所そのものについて考えるのではなく、「採掘―湿式製錬―転換―濃縮―ユニット製造―発電処理―廃棄物処理」の全プロセスを見る必要がある。
中国は1990年代中期、石炭発電チェーンと原子力発電チェーンによって生まれる環境被害を比較し、「大気汚染物の排出から考えると、通常の状況では、石炭燃焼発電は二酸化硫黄や窒素酸化物、粒子状物質などの汚染物を排出するが、原子力発電ではいかなる大気汚染物も排出されない。放射性排出物から考えると、石炭中には原始放射性核種が自然状態で含まれ、石炭燃焼発電所の煙塵を通じて環境中に排出される。一方、原子力発電所から環境中に排出される気体・液体排出物の放射線量は自然放射線の水準よりもはるかに低く、わずかに産出される固体廃棄物は密封処理されるため、外部には排出されない。石炭発電チェーンが外部に産出する放射線量は原子力発電所の50倍にのぼる」との結論を出した。