日本政府は10日、政府開発援助(ODA)大綱を改定して、新たな「開発協力大綱」を閣議決定した。新大綱は他国軍への「非軍事目的」の支援を初めて容認した。これは軍と関係のない民生分野での途上国支援を中心としてきた日本のODAの重大な転換を意味すると日本メディアは分析。安倍晋三首相が2013年12月の再登板以来打ち出してきた各安保政策から考えて、日本各界は新大綱に強い懸念を抱いている。
■日本メディア、非軍事目的に限る援助の原則が空洞化する恐れ
新大綱は人道支援とインフラ整備など非軍事協力を基本とし、軍事や国際紛争を助長する援助は排除した。また、日本の国益を確保するため、すでに一定の経済発展水準に達した「ODA卒業国」に対しても援助を継続することができるとした。新大綱によって、日本は状況に基づき、災害救援など「非軍事目的」で他国の軍や軍人を支援することが可能となる。「実質的意義に着目し、個別具体的に検討する」というのが支援を行ううえでの判断基準だ。共同通信社は10日、他国軍による支援物資や資金の運用状況を把握するのは難しく、「実質的意義」の基準も余り明らかでなく、非軍事目的に限るという援助の原則が空洞化する恐れもあるとした。他国軍への支援によって、日本人を狙ったテロを誘発する危険性が高まりかねないと懸念する声もある。
1992年制定の大綱も、2003年改定の大綱も「軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する」ことを明記し、軍と関係のある援助は全て排除してきた。だが新大綱は他国軍への支援を認めないとの原則を改めた。これは日本政府が2013年12月に決定した国家安全保障戦略で打ち出したODAの積極的・戦略的活用という方針、および国際問題に積極的に関与する意志を反映している。
ODA大綱改定のため、昨年6月に日本の有識者懇談会は他国軍への支援を認める報告書を外相に提出した。これによって日本各界はODA大綱改定に強い疑念と懸念を抱き始め、各大手メディアは批判的社説を次々に掲載した。安倍首相は新大綱は国際社会の平和・安定・繁栄をさらに促進することが目的だと公言しているが、もし新大綱によって平和国家としての日本の外交方針が揺らぐのなら本末転倒だ。日本メディアは今回のODA大綱改定を「武器輸出三原則」の撤廃、集団的自衛権の行使容認とともに安倍内閣の安全保障分野の「3本の矢」だとする外務省関係者の話を伝えた。
■日本の議員「平和憲法の精神と合致する政策を」
「安倍政権は全くやりたい放題だ!新大綱は日本国民にとって大変危険だ。だが極めて悲しいことに、日本国民には安倍政権の暴挙を阻止するすべがなく、このような結果を招いてしまった」。浅井基文・元日本外務省中国課長は人民日報の取材に「安倍政権にとってこれは小さな一歩に過ぎない」として、警戒を高めるよう日本国民と国際社会に呼びかけた。