多くの人は、水に包まれた超微細イオンを発生させ、髪の潤いを守るナノテクノロジー使用のドライヤーや肉や野菜がスパッと切れるセラミック包丁、ステンレス製の真空断熱二層で、油の汚れがつかないステンレスボトル、最新のLED超音波技術を使用し、ドイツのブラウンよりもさらに軽量の電動歯ブラシなどを買っている。さらに変わっているのは、電気炊飯器と温水洗浄便座を争うように買った中国人観光客の間で、現在日本の米を買い漁るブームが起こっている点だ。1500元(約2万8500円)近くを使って日本の米5キロを買った人までいる。
■理性的とは言えない買い物
世界高級品協会が発表した統計によると、中国人は春節連休中、海外で最も高級品を買う世界最大の消費層となった。海外高級品価格は、一般に中国国内の3分の1の値段で、中国人が海外に出て商品を買い漁っても十分に割が合う。海外ブランドショップやホスト国の観光業も中国人から大きな利益を得ている。
中国人が海外で豪快に商品を買う理由は、海外の商品の質が良く、価格が安いからだという人がいる。しかし、わずか約2000元(約3万8000円)の価格の便座を、わざわざ海外に行ってまで買うのは理解しがたい。しかも、メディアの報道によると、こういった機能を持つ便座は中国でもかなり前から販売されているという。さらには、日本の米5キロを1500元で購入するということは、1キロ300元(約5700円)という恐ろしいほどの価格となる。
消費行動は往々にして単純な貨幣と商品の交換ではすまない。これには、消費者の価値観や生活観、さらには個人の教養までが知らぬ間に透けて見える。一部の成金が短期間に大金を稼いだ場合、個人の資質や信仰心がそれに追いついていかず、富に存在する本当の意味を理解できていない。
シンガポール、韓国、フランス…世界各国で中国人観光客を歓迎するブームが起こっている。中国人は、世界経済を救ったが、中国人の消費価値観は己を貶めてしまった。
■「歩く財布」に別れを告げるべき