■誤解1 「日本人は一生懸命仕事をするので、有給休暇を一切取らない」
日本では1年に10日あまりの有給休暇しかもらえない仕事が多い。しかし、最終的には、たったこれだけの有給休暇も消化できずに終わる。しかし、これは、上司が許さないからではなく、有給休暇を取ろうする人がいないのだ。
○誤解の原因
日本の会社員は仕事が好きだから喜んで有給休暇を返上していると思っている人が多い。しかし、これは、日本の会社員の奉仕精神をあまりにも過剰評価しすぎている。最も重要なのは、根本的に「どうして有給休暇を取りたいと思う日本人がいないのか?」という問いがなされていないことだ。実は、日本人が有給休暇を取らない大きな理由は同僚からの圧力にある。
有給休暇を取るということは、誰かがあなたの代わりにめんどうな仕事を請け負わなければならないことを意味する。これは集団意識の強い日本人にとっては非常に耐えがたいことだ。日本の会社が優秀な業績の社員を抜擢したからには、ソファの上に誰かが残した酒を飲むような楽をする人間だというイメージを人に与えたいと思う人はいない。しかも有給休暇を取りたいという要求は通常上司や同僚の助けを期待しなければならないことを意味する。上司は単に眉をひそめて、その後はっきりとあなたがめんどうを引き起こしていると考えていることを伝える。
実際、日本が制定している休日は非常に多い。年末には1週間の正月休み、5月にはゴールデンウィ―ク、8月にはお盆休みの長期休暇があるほか、この他にも多くの単独の休日がある。基本的にほぼ毎月のように休日がある。魅力的な休日は、さほど長く待たなくてもやってくるのだ。有給休暇をわざわざ取る面倒に比べると、休日を待つことなど非常に簡単だ。つまり、日本人が与えられた有給休暇を取らないのは、基本的に仕事が好きだとか、休みを利用したくないからという理由ではない。