クレストブランドのホワイトニング歯磨き粉(双効炫白牙膏)は広告に虚偽の内容が含まれているとして、このほど603万元(約1億1700万円)の罰金を言い渡された、虚偽の違法広告に対する罰金額として国内で過去最高額になる。クレスト社は9日夜にコメントを発表したが、そこには謝罪の言葉が一言もなく、美白効果はあると繰り返し述べているだけだった。こうした振る舞いが人々の反感を買い、ネットユーザーからは「謝罪はそんなに難しいことか。これでずっとクレストで歯磨きしていたが歯は白くならなかった」との声も上がっている。「新京報」が伝えた。
クレストの態度をめぐり、メディアが原因を分析したり、学者が虚偽の広告の監督管理をどのように行うべきかを考察したりしている。「関連企業を追及するだけでなく、広告塔になったスターや一部の広告代理店も相応の責任を負うべき」との見方を示すネットユーザーもいる。
▽クレストの謝罪は困難
クレストのコメントに対し、「京華時報」は「決定を拒絶して悔い改めもしない」と報じている。
クレストがこのような態度を取る原因は少なくとも2つある。「現代快報」によると、クレストを販売するP&G社の昨年第2四半期(4-6月)の営業収入は201億6100万ドル(1ドルは約121.3円)で、純利益は23億7200万ドルだった。1年間の利益が100億元を超える企業にとって、603万元の罰金などたかがしれている。これが1つ目だ。
2つ目は、中国には虚偽の広告が溢れている状況があり、そのためにP&G社は罰金を受け入れないというものだ。
虚偽の広告という「煙霧」は禁止しようにもなかなかなくならない。現代快報はその原因について次のように報道している。上海師範大学人文・伝播学院の金定海副院長は、「監督管理部門の担当者の数は虚偽の違法広告の名目の煩雑さや数の多さとつり合っていないし、これに広告経営者の一部が利益のために審査をいい加減にすることが加わって、虚偽広告は禁止してもなくなることがない」と語る。
また新京報によると、中国人民大学商法研究所の劉俊海所長は、「高い利益と低い違法コストとの間の『価格差』により、企業の多くが危険な道に踏み込む」と分析する。
こうした現象を解消するにはどうしたらよいか。学者の王琳氏は09年に米国の製薬大手ファイザーが23億ドルの罰金を科されたケースと今回のケースを比べて、罰金という観点でこの問いに答を出した。またこの2つのケースを比較するのは無理だが、「巨額の罰金」に懲罰的な意味合いがあるのはどちらも同じだと論じる。
劉所長は、「監督管理部門は法律を大胆に執行して、消費者の権利を守り、法律によって与えられた行政指導、市場への参入、行政調査、行政処分などの権限を行使すべきだ」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年3月12日