北海道新聞は16日付社説「防衛装備庁新設 武器輸出拡大許されぬ」で、今国会で「防衛省設置法」改正案を可決し、防衛装備庁を新設する日本政府の計画に懸念と反対を表明した。社説は「安倍政権は武器輸出を原則禁じた『武器輸出三原則』を撤廃し、容認に転じた。装備庁設置により、官民一体となった武器の輸出や国際共同開発がなし崩しに拡大する恐れがある。あまりにも問題が多い法案だ」とした。
日本政府は今月6日、防衛省設置法改正案を閣議決定した。▽「文官統制」を廃止し、防衛官僚(文官)と自衛官(武官)が対等な地位で防衛大臣を補佐する▽防衛省直属の防衛装備庁を新設し、武器及び装備の輸出入と統一管理する――といった内容だ。与党が衆参両院の議席の過半数を占めているため、防衛省設置法改正案は今国会で可決される可能性が高い。
防衛装備庁は現在の防衛省経理装備局、装備実施本部、技術研究本部、陸海空自衛隊など関係部門を統合し、技術官、事務官、自衛官を含む1800人規模で、研究開発、調達などを担当し、国際防衛装備技術協力を拡大し、国産防衛装備の輸出を増やす。
村田信彦・元毎日新聞社駐独記者は人民日報の取材に「歴史は鏡だ。日本は1936年に軍部大臣現役武官制を復活させ、その翌年に全面的な中国侵略戦争を発動した。今回の防衛省設置法改正案が『文官統制』規定を廃止したことは、侵略と挑発の性質を備えていると言え、歴史の悲劇の再演を懸念せざるを得ない。第2次大戦中に経済政策を主管した岸信介は安倍首相の祖父であり、戦時軍需産業の強化を主張する岸は1943年11月に軍需省を設立した。安倍首相の今回の防衛装備庁設立は歴史の焼き直しといえる。戦争体験のない安倍首相は侵略戦争の事実を理解していない。第2次大戦終結70年の際に、あろうことかこのような国際秩序への挑発行為を行うとは大変懸念される」と表明した。
日本政府は2014年4月1日に「防衛装備移転三原則」を閣議決定し、自民党の「国防族」と防衛産業を長年悩ませてきた武器の輸出および他国との共同開発の禁止を撤廃した。世界最大の軍需企業ロッキード・マーティンのチャック・ジョーンズ日本支社長は3月4日に東京都開いた記者会見で、三菱重工および川崎重工という日本の防衛装備企業と共同開発を模索すると発表した。3月13日、日仏両政府は東京で外務・防衛閣僚会合を行い、防衛装備品の共同開発に関する協定に署名した。技術協力を含む防衛交流を推し進める。日本との防衛装備品協定に署名したのは米国、英国、オーストラリアに続き4カ国目だ。
「武器輸出三原則」の撤廃、防衛装備庁の新設といった日本政府の措置に対して、日本の各メディアは次々に懸念を表明し、国際紛争を激化させるとの認識を示した。学習院大学の青井未帆教授は「「防衛装備庁を新設すれば、日本国憲法の堅持する平和主義の根幹が揺らぐのは必至だ。平和国家としての日本のイメージを維持してきた『武器輸出三原則』を国会の議論や承認なしに変えたことは極めて不適切だ」と表明した。(編集NA)
「人民網日本語版」2015年3月17日