ドイツのメルケル首相が9日、日本を訪問した。G7サミットに向けた準備が大きな目標だ。慣例に基づき、議長国はサミット開催前に参加国を訪問し、日程を話し合う。だがメルケル首相は日本到着当日に自ら歴史問題に言及。第2次大戦後のドイツと被侵略国との和解実現に触れて、戦争の歴史に誠実に向き合うよう日本に促した。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究院国際戦略研究所副所長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
メルケル首相には日本の安倍首相に忠告する資格がある。第2次大戦後から現在までに、ドイツは被侵略国の許しを得て、国際社会の信用と尊敬を勝ち取った。ドイツ高官は泰然と歴史に言及し、自国の経験を他国の模範とすることができる。ロイター通信や英紙ガーディアンなどはこのニュースを報じる際「メルケル首相訪日、日本に歴史の直視を促す」「メルケル首相が『戦争に言及する』よう日本に促す」といった類似の文言を多く用い、メルケル首相の発言を丁寧に促したとして、肯定的に評価している。
メルケル首相には安倍首相に忠告する必要もあった。最近、安倍首相の準備している戦後70周年談話が注目されている。安倍首相は戦時中の歴史に対して懺悔を表明する必要性を表明しつつも、「侵略」「植民地支配」といったキーワードは使用しないことを示唆している。その姿勢はすでに近隣国の不満を招いており、中韓などの関係をさらに傷つける恐れもある。
メルケル首相は穏やかに忠告したが、安倍首相が聞き入れるとは限らない。
安倍首相に歴史問題の話題を拒む気持ちがあるのは明らかだ。メルケル首相訪日前にドイツメディアは「安倍政権はドイツ側が第2時大戦の反省の問題に言及することを懸念している。安倍政権に代表される日本保守勢力は同国の第2次大戦の問題に対する姿勢への外部の批判に非常に敏感だ。したがって、たとえ善意の忠告であっても、安倍首相は歓迎しない」と断言している。