イトーヨーカ堂中国総代表の三枝富博氏は、長年続く北京市場の不振にどうにも立ち行かなくなり、とうとう北京の「外科手術」を断行する決定を下した。来月1日に右安門店が閉店すると、北京にある同社の赤字店舗は軒並み閉じることになり、残る5店舗は一からの再出発となる。北京ヨーカドー計画によると、今後3年で、内部の経営体制から各店舗の経営に至るまで、戦略的イノベーションに取り組む構え。まずは末端の各店舗の経営革新から着手、「一店舗一計画」体制を整える。北京商報が伝えた。
〇最も良い革新のタイミングを逃す
この1年間、北京ヨーカドーにはさまざまな変化が生じた。赤字店舗4店を閉店、仕入先の10%を変えた。衣料品と住まいの品を中心とする経営手法を打破し、VP(ビジュアル・プレゼンテーション)効果の高い売り場を作りだした。多くの店でプライベートブランドを導入・強化した。だが、これらの戦略変更によっても、北京ヨーカドーの黒字転換は実現できず、2014年売上は、前年比3億元(約58億円)減の21億4千万元(約415億元)にとどまった。
2008年以降、価格戦争で低迷が続く北京ヨーカドーは、なかなか利益が上がらなかった。三枝氏は北京の店舗閉店の理由を「特色が確立できなかったため」と振り返る。成都市場と比べると、両者の差は拡大する一方だった。2014年、ヨーカドーは成都で新店舗を開店、今年もさらに店舗を拡大する計画だ。一方、北京市場では、この1年間で、望京、西直門、北苑、右安門の4店舗を閉店した。三枝氏は、「北京ヨーカドーは、変革のベストタイミングだった2007年から2008年をみすみすやり過ごしてしまった。これにより、多くの優良仕入先が自分たちから離れていった」と振り返った。
〇カスタマー・エクスペリエンス強化戦略
2014年、成都イトーヨーカドー元総経理の今井誠氏が北京イトーヨーカドーの総経理に就任した。辞令を受けとった翌日、今井氏は北京ヨーカドーの「救済」のため、ただちに北京に駆けつけた。