経済成長ペースの鈍化は、低所得の労働者にマイナス影響を与えていないだろうか。最近、北京市や広東省など各地で最低賃金水準の引き上げが次々に発表され、引き上げ幅は10%を超えており、多くの人を安堵させている。人民日報が伝えた。
研究によると、経済運営に2つの状況が生じる時、低所得労働者の基本的な生活が最も大きな影響を被る。インフレと経済の下ぶれだ。インフレになると、物価の急速な上昇が苦労して手に入れた給料を目減りさせる。経済が下ぶれすると、労働力市場において競争力に乏しい低所得労働者の賃金はしばしば伸びなくなる。こうなると労働者たちは少しでも早く賃金が上がってほしいと願うようになる。
市場経済の下では、労働の対価である賃金は主に市場によって決まるのであり、政府が乗り出して個別の賃金水準を決めるのはよくない。だが賃金には最低限の生活を保障するラインというものがあり、これが最低賃金水準となる。この社会保障の意味合いをもつ水準に、政府は関与してよいし、関与するべきだ。物価の上昇幅が大きかった年には、最低賃金水準の引き上げ幅も大きくなり、低所得者の生活が物価上昇の影響を被らないことをかなりの程度保証することになる。経済成長ペースが鈍化した時には、最低賃金の調整もストップし、低所得者にかかる圧力が軽減される。最低賃金は消費者物価指数(CPI)を追い越し、国内総生産(GDP)と同調し、低所得労働者に経済発展の成果を享受させるもので、低所得層の生活を改善しようとする政府の決意を人々に知らせるものでもある。
だが最低賃金制度は客観的にみて「両刃の剣」でもある。引き上げが急速なら雇用に影響が出る可能性がある。現在の各地の最低賃金の引き上げ状況をみてみると、上がり方が速すぎる、幅が大きすぎるとはとてもいえず、雇用に対して明らかにマイナス影響があるともいえない。とはいえ経済が下ぶれし、人件費が上昇する状況の中で、雇用者にかかる圧力を軽視してはならない。労働者の賃金は上がるべきものだが、企業もしっかり生き残らなければならず、いろいろな措置を同時に行って、企業の負担を軽減させることも必要だ。とりわけ小規模・零細企業の負担を軽減することが必要だ。税金を減免したり、特定の時期に必要な政策的支援をうち出すなどして、労働者の賃金引き上げに向けた雇用者の可能性を広げなければならない。
以上述べたような経済運営の新たな特徴は、最低賃金の調整レベルにより高い要求をつきつけている。GDPの成長率が鈍化しても、最低賃金の調整をやめることができない。どれほどの頻度か、どれほどの幅か、経済運営の主要指標とどのような関係を保つか、最低賃金水準をより科学的に調整することができるように、より全面的で詳細な研究・検討を行うべきだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年3月24日