日本文部科学省は6日、来年から使用する中学教科書の検定結果を公表した。日本政府の圧力や出版社の自主的な審査によって、一部の教科書は歴史認識問題の記述が再び後退した。新華網が伝えた。
「南京事件」(南京大虐殺)について、いくつかの教科書は記述を改めた。例えば現行の教科書では日本軍が「多くの捕虜と住民を殺害した」となっているものが「捕虜や住民に波及し、多くの死傷者が出た」と改められた。「日本軍の暴行は強く非難された」といった記述を削除した教科書もある。
日本が韓国併呑期間に実施した土地調査については、現行の教科書は日本が「(韓国を)近代化するとの名目を掲げて」実施したとしていたが、文部科学省が検定で異議を示し、最終的に「近代化を目的に」に改められた。第2次大戦末期の沖縄戦では沖縄の民衆多数が集団自決を強いられたが、検定に合格したいくつかの教科書では元の「自殺を強いられた」との表現が「自決に追い込まれた」に改められ、日本軍の責任がうやむやにされた。
文部科学省は2014年1月に教科書検定基準を改定。通説的な見解がない歴史、領土問題で政府の公式主張を適度に体現するよう教育界に求めた。今回の検定で文部科学省は6つの意見を示し、4つが日本の戦後賠償に関する政府の立場を盛り込むよう求めるなどした。また、領土係争では地理、歴史、公民の18の教科書全てが日本政府の立場と主張を取り上げたうえ、「固有の領土」との日本政府の見解を大部分が踏襲した。
日本の教育学者、藤田英典氏はメディアの取材に「今回の教科書検定の結果から見て、出版社は保守世論を気にかけて、検定合格を確保するために、日本軍の加害行為などに関わる記述で自主的に審査する傾向がある」と指摘。「領土問題に隣国の立場の記述がなければ、隣国に対する敵意を生徒に植え付ける可能性が高い」とも語った。(編集NA)
「人民網日本語版」2015年4月7日