2015年6月3日  
 

中日対訳健康知恵袋 企画集 北京のお気に入り

Apple新浪騰訊人民LINE微信RSS
人民網日本語版>>中日フォーカス

大石千尋氏「環境協力は日中関係強化に向けたエネルギーとなる」 (2)

人民網日本語版 2015年05月19日10:33

現地住民はごみ分別収集実験を参加

■環境保全活動への市民参加の重要性

―――大石さんが、今回の滞在中に取り組んできたプロジェクトについて教えて下さい。

 2010年以降、JICAと中国・国家発展改革委員会が協力して実施してきた「都市廃棄物循環利用推進プロジェクト」は、その最終成果として政策提言書(政策大綱)を作成しました。国家発展改革委員会は上記政策大綱を当該分野における第13次5ヵ年計画を策定する際の参考として利用する予定です。私達はこのプロジェクトの実施を通じて、政策大綱という大きな成果を得ましたが、開始当初は必ずしも順調とは言えませんでした。プロジェクトでは、4つのモデル都市(浙江省嘉興市、山東省青島市、貴州省貴陽市、青海省西寧市)でいくつかのパイロット事業を展開してきました。例えば住民の協力を得て、住民のごみ分別及び資源化利用に対する意識の向上を狙った分別収集実験を行いました。当初、住民の理解を得るのは容易ではありませんでした。どうしてごみの分別を行う必要があるのか、これらの取り組みがどのように役立つのかというような住民の疑問に対して、我々は現地政府と協力して分別の必要性の説明を行ったほか、住民に対するアンケートを通じて分別の習慣を根付かせる上での課題を抽出しその対応策を検討しました。そうした中で、市民の所得水準やコミュニティの管理方式によって、ごみに対する認識や分別の行動が大きく異なることが確認され、コミュニティの事情に即した柔軟な分別排出ルールの構築を検討する必要があることが分かりました。私達はイベント等を通じて宣伝や説明を行い、市民の廃棄物を巡る問題への理解や認識を深める取り組みを続けました。分別にかかわらず環境保全の取り組みを推し進めるためには、市民生活の中にその必要性の意識を芽生えさせ、個々人の行動の変化を促すことが大変重要です。

■環境問題は簡単に解決できないからこそ、共同で取り組む必要がある

―――大石さんは中国には延べ10年余り駐在し、現場調査等で全国各地を訪問しました。中国の急速な経済発展の状況と、環境問題等が発生している様子も目の当たりにしたと思います。大石さんは環境問題についてどのように考えていますか?

 誰の目からも明らかなことですが、中国では、近年経済が急速に発展している一方、国土が広く、人口も多いため、環境保全の対策が追い付いていません。もしこれからも経済発展を優先し、環境保護を軽視すれば、いずれ市民社会にも大きな負荷を与えることになりかねません。経済発展と同時に、環境に対する社会的公共的責任感を強めることは自分達の生活環境を保護することにも繋がります。環境問題は、一朝一夕で解決するものではありません。日本も1960年代に深刻な大気汚染を経験し、長い時間をかけて克服した経験があります。しかし、日本での経験をそのまま模倣すれば北京の問題が解決するかというと、必ずしもそうではありません。例えば北京で発生している大気汚染は形成過程が複雑なため、しっかりした観測・分析を通じて、情況を十分に分析した上で、適切な対策を講じる必要があります。他国の経験を機械的に当てはめればすぐに解決するという問題ではありません。だからこそ、JICAは中国の役所・研究所など関係機関と協力し、日中の専門家間の技術協力等を通じて中国の社会・風土に適した解決策を提言すべく取り組んでいます。


【1】【2】【3】

関連記事

コメント

最新コメント