中韓自由貿易協定(FTA)の締結に続き、10年間に及ぶ協議を経て、また一つFTAの交渉がゴールにたどり着いた。中国・オーストラリア両国政府の代表は17日、オーストラリアのキャンベラで、「中華人民共和国政府とオーストラリア政府による自由貿易協定(以下、中豪FTA)」に正式に調印した。同協定によると、中国は今後、中国に輸出されるオーストラリア産製品の97%について「関税ゼロ」を実現する。FTA調印が、両国の工業製造業の発展に有益となるだけではなく、消費者もFTAによって恩恵を受けると業界では見ている。とはいえ、多くの製品が、「関税ゼロ」に至るまでには、数年から十数年にわたる移行期を経なければならないことから、政策の効果がただちに目に見えて現れることは期待できない。北京商報が伝えた。
〇中豪両国の工業製造業は「ウィンウィン」
今回締結された中豪FTAの内容は、物品、サービス、投資など10以上の分野に及ぶ、中国が今までに諸外国と取り交わした貿易自由化協定の中では、全体レベルとして最高の部類に入る。
中国商務部(省)の分析では、オーストラリアから中国に輸入される製品は、工業製品が中心で、特に鉱物・エネルギーなど資源類製品が主流となる。オーストラリアが中国から輸入する製品も、主に工業製品だが、こちらは加工・完成品の割合が大きい。中豪FTAの締結は、両国の工業・製造業発展を力強く後押しすると見られる。
例えば、鉄鋼業では、周知のとおり、中国鉄鋼業は輸入鉱物資源への依存度が極めて高く、オーストラリアは、中国にとって主な鉱物輸入元のひとつである。統計データによると、これまで、中国向けオーストリア産製鋼用コークス原料炭に対する関税は3%、燃料用炭に対する関税は6%だった。中豪FTAの締結後、コークス原料炭と酸化アルミニウムに対する関税は即刻廃止され、燃料用炭に対する関税は、今後2年で6%からゼロとなる。
蘭格経済研究センターの陳克新チーフアナリストは、「中豪FTAの調印は、中国工業・製造業にとって願ってもないことだ。国内メーカーは、関税減免によって輸入コストが引き下げられる。逆に、輸入コスト軽減は、中国工業・製造業の輸出に有利となる」と指摘した。