中投顧問の交通産業研究員の蔡建明氏は、中国と日本が米国の高速鉄道の発注を受けるのに熱心である原因は3つあると指摘する。第一に、米国市場は将来性が高く、11本の鉄道を新たに建設する計画があり、その総延長は1万3700kmに及び、中国と日本のいずれにとっても極めて大きな契約となる。第二に、国内の生産能力過剰の問題を有効に緩和し、国内の高速鉄道の川上・川下の産業チェーンの発展を促すことができる。第三に、製品を国際展開して自身のブランドを打ち立てることは、中日両国が追い求める長期的な目標である。
中国と日本は近年、高速鉄道の国際建設と関連設備の輸出市場での競争を激化させている。JR東海の看板製品は、超電導リニア高速鉄道技術であり、最近行われた超電導リニア高速鉄道の有人走行試験では時速603kmの世界最高速度が打ち立てられた。日本は、この必殺武器によって日本政府の制定した「インフラ輸出戦略」の実現を加速させるねらいだ。一方、中国の高速鉄道の運行距離は2014年に1万6千kmを突破し、世界トップに君臨している。その規模のほか、圧倒的な価格面での競争優位も、中国メーカーを日本の新幹線輸出の障害の一つとしている。2014年7月に世界銀行が発表した報告によると、中国の高速鉄道の1km当たりの建設費は、設備と工事を合わせておよそ8700万元から1億2900元と推算され、欧米先進国の約3分の2となっている。
だが中国の高速鉄道の米国市場参入にあたっての困難は大きいとの分析もある。
蔡氏によると、中国が落札を成功させるためには、次の困難と障害を克服しなければならない。まず、日本というライバルがもたらす強大な競争圧力を克服しなければならない。次に、中国の切符販売システムは日本と比べると複雑であり、米国には受け入れられにくい。最後に、中国の高速鉄道は、速度は十分に速いものの、安全性は日本と比べると劣る。日本の新幹線は50年の運行で一人も死亡事故を出しておらず、中国の高速鉄道にもたらす競争圧力は大きい。(編集MA)
「人民網日本語版」2015年8月11日