中国の王毅外交部長(外相)はこのほどマレーシアでASEANプラス1(中国)外相会議に出席した際、「南中国海の平和と安定を維持するための3つの提案」を打ち出した。(文:蘇暁暉・中国国際問題研究所国際戦略研究部副主任。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
(1)南中国海地域各国は『南中国海における関係国の行動宣言』の全面的で実効性ある完全な実行、「南中国海における行動規範」協議の加速、「海上リスク管理の予防的措置」の積極的な検討を約束する。
(2)域外国は域内国の上述の努力を支持し、地域情勢の緊張や複雑化を招く行動を取らないことを約束する。
(3)各国は南中国海で有する航行と上空飛行の自由を国際法にのっとり行使し、維持することを約束する。
南中国海問題における政策的立場を中国外相が国際会議の場で系統立てて説明したのはこれが初めてではない。昨年のASEANプラス1(中国)外相会議後の記者会見で、王部長は「デュアル・トラック」で南中国海問題を処理することを提唱した。王部長は今回のASEAN関連会議出席前にシンガポールを訪問し、南中国海問題で中国が「5つの堅持」を遂行することに言及した。
中国外相は南中国海問題についてたびたび発言しているが、決して単純な繰り返しではない。今回打ち出した「3つの提案」は一見シンプルで、これまでの立場を突破するものではないが、その深意は示唆に富む。
第1の提案は地域の安定維持に焦点を合わせている。現在各国は南中国海の平和・安定に一致して懸念を表明しているが、安全上の災いのもとを根本的に取り除くことはできていない。フィリピンなどの国は中国との対話・協議を拒絶する一方で、安全を脅かしていると悪意をもって中国を非難し、安定破壊の罪を中国に押しつけようとしている。