留学や観光に北京を訪れたことのある日本人は数知れず。しかし、日本の横丁や路地裏に当たる北京の「胡同(フートン)」で生活した経験があるという日本人は少ないだろう。今回は庶民の伝統的な住宅街「胡同」に魅了され、そこで10年以上暮らしながら中国人との交流を深め、現在フリーライターとして活躍する多田麻美さん(北京滞在歴15年)をご紹介したい。
胡同の魅力
多田さんは当初、留学で北京を訪れたが、胡同の何かに「取り憑かれ」、胡同で生活を始めて10年以上になる。胡同に漂う生活感、歴史の香り、様々な物語、住民が楽しそうに暮らす様子、そこにいるだけでかきたてられる想像力。「不便はあってもそれを上回るだけの様々な魅力が胡同にはある」と多田さんは語る。
北京は明清の都という誇りがあり、古いものはまだ比較的大事にされているが、民国期の建築物や西洋建築は見落とされがちになっている。そういったものを拾っていくのも多田さんの日常の楽しみであり、今では壁だけ、門だけ、石畳だけが昔のものとなっている建築物を見つけては、それに関心を向け、歴史や街の奥行きを感じる。「古ければいいというわけではないが、古いものが大事にされているとほっとする」。多田さんにとって胡同は尽きることのない楽しみに包まれた空間なのだ。
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