なぜ若い選手が引退?
また、ASエルフェン狭山FCには40歳まで現役を続けた選手がいたのに対し、広東省女子サッカーチームでは、23、24歳で辞めようとする選手がいる点にも驚いたという。「なぜ、そんなに早くピッチから離れようとするのか?」との亘監督の逆取材に、筆者が「将来の生活を考えなければならないからでは」と答えると、亘監督は言葉を失った。
亘監督は、同チームは中国でも並程度またはそれ以下のレベルであるものの、選手の体の素質だけを見れば、日本の選手を上回っているとの見方を示す。もしかすると、サッカーが好きか否かが、日本の女子サッカーがここ十数年で中国を抜き去った原因かもしれない。「中国は今、サッカーに力を入れ、栄光を取り戻そうとしている。しかし、選抜されたプロ選手だけに頼るのではなく、アマチュア選手の力も重視しなければならない。そして、選手にサッカーの楽しさを味わってもらわなければならない」と亘監督。
自己管理をしないのはなぜ?
その他、亘監督は広東省女子サッカーチームの選手は、体調管理の意識に欠けていると指摘する。日本の選手は、食事や睡眠などにおける自己管理を重視し、トレーニングのほか、針やお灸などを自費でして、けがの予防に努めている。しかし、広東省女子サッカーチームの選手は、監督が言わない限りしない。「この面での意識には歴然とした差がある。日本では、アマチュア選手でも自己管理意識が高い。しかし、中国では、プロの選手でもその意識がない」と亘監督。
ASエルフェン狭山FCを「なでしこリーグ」に昇格させたように、広東省女子サッカーチームもレベルアップさせることができるのだろうか。亘監督は、「分からない」としながらも、「半年間努力して、選手に少しずつ変化が見えはじめた。それがうれしい」と語った。
「人民網日本語版」2015年12月9日