新しい年が始まり、人民元相場は大きく変動して、対米ドル基準値が累計700ベーシスポイント(bp)低下した。資産運用の専門家は、「このたびの元の急速な調整は主に最近のドルの利上げ、昨年8月11日の元切り下げなどの影響によるものであり、元はこれから大幅に値下がりすることはないが、レートの変動は大きくなるとみられる。個人投資家には海外資産を適度に増やすことをすすめる」と話す。「京華時報」が伝えた。
8日の元の対ドル基準値は1ドル6.5636元で、前営業日の6.5646元より10bp上昇した。2015年12月31日に中国人民銀行(中央銀行)が発表した基準値は6.4936元で、5営業日で700bp低下したことになる。
人民銀が7日に発表した中国貨幣網の特約評論員の論考によると、最近の基準値オファーの値下がり傾向はドルの値上がり傾向によるもので、元とその他の主要通貨はドルに対する変化の方向性と程度が基本的に一致しており、元レートはバスケット通貨に対し基本的安定を保っているという。
スタンダードチャータード銀行中華圏資産管理部門の梁大偉総経理は、「元が国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)構成通貨(通貨バスケット)に採用されたことにともない、元の国際化が一層進み、2015年のドルは全体として強かった。元の為替差額は世界と結びつくべきであり、ドルだけをみているわけにはいかず、全体をみて考える必要がある。また経済の基本的側面をみると、最近の中国経済データは以前ほど目覚ましいものではなく、経済データが不調になると、通貨にも強い勢いがなくなる。このほか元は2005年にレート改革が行われてから、2015年8月11日に切り下げが行われるまで、一貫して強い勢いを保っていたが、10年連続の上昇は基本的に終わりを告げた」と話す。
梁総経理は元の今後の動きについて、「引き続き大幅に値下がりすることはあり得ない」とした上で、今年の元レートの平均水準は「6.6%前後を維持するとみられるが、レート形成プロセスにおける変動が増大し、6.6%というのはあくまでも平均値だ」との見方を示す。