最近、華人を含むアジア系住民が全米各都市でデモ行進を行い、ニューヨーク市の中国系警官ピーター・リャン被告が勤務中に黒人を誤殺して有罪となったことに抗議した。(人民日報「鐘声」国際論評)
技術的詳細はさておき、この事件が社会レベルで激しい反応を引き起こした根源には米国の深い人種問題がある。これまでに起きた警察が黒人を銃撃した事件で、白人警官の場合は無罪となるケースが頻繁にあったが、リャン被告は陪審団により重罪を言い渡された。これは白人警官と違い、同じくマイノリティーに属するリャン被告が全米の反警察暴力、警察とアフリカ系コミュニティーの対立の犠牲者となったことを物語っている。ニューヨーク・タイムズはリャン被告の有罪について「ニューヨークのアジア系住民に長年存在する不満感を刺激した。彼らは今回の事件を抵抗できない辺縁の社会層がひどい扱いを受けた新たな例と見ている」と論じた。ホワイトハウスも今回の事件について、全米各地に肌の色の異なる人種と法執行機関との間に深い不信感があることを認めた。
人種問題は米国に幅広く存在する問題であり、リャン被告の事件に対する世論の反応は、米国社会の痼疾の新たな顕在化に過ぎない。アフリカ系、アジア系など米国のマイノリティーは経済的にも政治的にも弱い立場に置かれ、米国の主流社会との間に相当大きな階層的差異がある。これは米国の人種摩擦が「すぐに火がつく」根本的原因だ。
近年、アフリカ系男性が白人警官に殺される事件が相次ぎ、人種問題に関する事件が米国社会を引き裂き、世界の世論を騒然とさせている。バージニア州のケイン元知事が指摘したように、今日の米国社会は内戦時のように決裂してはいないが、「日々ニュースを見る人は、米国が依然深い社会分裂の中にあることを知っている」のだ。