パソコンや関連機器の普及で年賀状の作成が簡単になったこともあり、数百枚の年賀状の印刷にも大した時間がかからなくなっている。また一斉に作成した機械的な年賀状の冷たさを和らげるため、多くの人は年賀状の一枚一枚に手書きで相手に一言二言、言葉を添えている。新年が来るまでに書き終えた年賀状を郵便ポストに入れるのが、日本人にとって一年の締めくくりとして最も重要な事柄の一つとなっている。
それぞれの生活圏や交際関係、職業の性質などによって、送る年賀状の枚数も異なってくる。多くの人は小学校の時からお互いに年賀状を送ることを始め、10数枚であろうと何百枚であろうと、休日を利用してなんとか年末までにこの作業を終わらせなければならない。
一年に一回の年賀状はまるでそれぞれ一本の糸のように細くて長く続くあっさりとした付き合いや、太くて親密な信頼に基づいた友情といった社会関係の網をつむいでいる。その太さも色も異なる各種の糸が毎年毎年その人の社会的な交友の独特な図案をつむぎだし、その人の人生における独特のリズムと旋律をつむぎだす。