閉幕したばかりの中国省級地方両会(人民代表大会、政治協商会議)では、エコ文明の建設と環境保護が焦点となった。地方政府は続々と、2016年の環境保護の取り組みと「十三五」(第13次5カ年計画、2016-2020)期間のエコ文明建設に対して具体的な手配を行った。全国両会でも、環境保護問題は重点議題となる見込みだ。
ここ2年ほど、「微信」の友人間では青空の写真が特に人気を博している。「閲兵ブルー」(昨年9月3日の軍事パレード時の青空)や「APECブルー」など、空にかかわる流行語もできた。このような現象の背後には、中国人もスモッグや環境汚染が我慢できなくなりつつあることを示している。昨年12月には北京で2回、空気汚染の「赤色警報」措置が取られた。工場や学校は閉鎖され、自動車も厳しく規制された。中国では申年の新年が迎えられたばかりだが、青空を守るために花火や爆竹での祝いを自ら控えた市民もいた。
「これまでの環境保護法は緩すぎ、強制的な措置に欠けていた。企業が法律に違反するコストが低く、法律を守る方がコストが高かった」。環境保護部の陳吉寧部長は2月18日、国内外の記者を迎えた会見でこう語り、新たな環境保護法は、この「緩すぎる」という問題を解決することを重要な内容の一つとしていると指摘した。2015年に実施の始まった新たな環境保護法は、中国史上最も厳しい環境保護法と言われている。法律中では、「あらゆる団体と個人は環境を保護する義務を負う。地方の各級人民政府は、本行政区域の環境の質への取り組みに責任を負う」との規定がある。この責任を現実化するため、環境保護部は昨年、15の市級政府の主要責任者と公開協議を行った。環境保護部と国家林業局も共同で、自然保護区の問題について、関連する地方政府と部門と協議した。昨年末までに、各級環境保護部門は行政処罰決定9万7千件余りを通達し、罰金は前年比34%増の42億5千万元(約6億5千万ドル)に達した。
エコ文明の建設は中国政府の取り組みの重点の一つであり、民意とも緊密に呼応するものである。中国共産党の第18回党大会では、中国の経済・社会発展の「五位一体」の総体配置の一つとして「エコ文明の建設」が取り入れられ、エコ文明の建設を推進し、「美しい中国」の建設に努め、中華民族の永続発展の実現をはかるとの方針が明確に示された。中国の「十三五」計画が掲げる「5大発展理念」の一つにも「緑色発展」が入っている。
エコ文明建設を強化すべきという中国の主張と行動を国際社会は高く評価している。環境防衛基金の中国事務担当のダニエル・デュデック氏は、中国の指導者は環境問題に取り組む固い決意を持っていると評価している。欧州議会議員でEU・中国友好グループ代表のNirj Deva氏は、中国共産党がエコ文明建設を党規約に入れたのは注目すべき措置だと指摘した。日本のある学者も人民日報記者に対し、中国の指導者がエコ文明建設を国家最高の発展戦略配置に取り入れたからには、中国の民衆の青空への期待がかなえられる日も遠くないだろうと語っている。
「人民網日本語版」2016年2月28日