▽高い代償で偽物販売行為を抑制
同社研究開発部の責任者の李暁航さんも高畑さんの見方に賛成し、「日本には偽物は少ない。日本は偽物商品を取り締まる法律が整い、処分も厳しい。社会の偽物に対する許容度が非常に低く、偽装のリスクが非常に高いということも、日本で偽物が少ない原因だ」と話す。
日本の「商標法」、「刑法」、「民法」、「関税法」などの法律には、いずれも偽物の製造販売行為を取り締まる条文がある。「商標法」の関連条項の規定では、偽物と知りながらこれを販売した場合は、他者の商標権を直接侵害したものとみなし、10年以下の懲役または1千万円以下の罰金、またはこれを併科するとしている。偽物と知らずにこれを販売した場合は、保有する数量または販売した数量が一定の範囲を超えれば、故意に偽物を販売したとみなされる可能性がある。
また日本社会は偽物に対する許容度が低く、特に企業が偽物を製造していたことがわかると、法的な罰を受けるだけでなく、メディアに大きく取り上げられ、企業にとって極めて大きな汚点となる。偽物を製造した企業は業界や消費者の信頼を失い、巨大な損失を出したり、時には倒産することもある。前出の産地偽装の会社社長は強い圧力を受けて自主し、その後開いた記者会見では謝罪のほか、会社の閉鎖を発表することになった。
同じようなケースとして、しゃぶしゃぶ・すき焼きチェーンの木曽路が14年にメニュー偽装を行い、普通の牛肉を使用していながら、メニューに高級牛肉と書いた事件がある。事件が発覚すると、客離れが深刻になり、同社の売上・業績は低迷し不振に陥った。今年3月10日に辞任した社長は辞任と事件との関わりを否定するが、日本の世論では2年ほど前の事件の責任を取って辞職したとの見方がもっぱらだ。