業績悪化の圧力に直面する日系家電メーカー各社が今年年初から「脱家電化」の方針転換を強めている。パナソニックや東芝、シャープなどを含む企業はいずれも、家電業務を売却または譲渡し、「Internet of Vehicles」(自動車分野の「モノのインターネット」)や原子力発電などの新興産業への転換をはかっている。業界関係者によると、世界の家電市場は現在、大幅な縮小傾向にあり、日系家電が得意とするハードウェア製造や品質の優位性は弱まり、オーバースペックも問題化している。日系企業にとって方針転換はやむを得ない選択となっている。北京商報が伝えた。
□業務売却で「脱家電化」
中国家電大手の「海信」(ハイセンス)は今年8月初め、シャープのメキシコにあるテレビ工場と、北米・中南米地域(ブラジル除く)のテレビブランドの5年間の使用権を2370万ドルで買収したと発表した。米大陸地域でのシャープのテレビ業務はこれで、中国のテレビ産業陣営に正式に組み込まれた。「液晶テレビの父」とも呼ばれたシャープが米大陸での業務を移管したことは、日系テレビの売却が加速するとのシグナルとして業界内では捉えられている。
プラズマで大きなダメージを負ったパナソニックも今年1月、同社の中国に残った最後のテレビ工場である山東省済南の工場を閉鎖した。パナソニックはさらに、中国でのテレビ販売を今後、OEM方式で行う方針も発表した。8月には、ノートパソコンとスマートフォン向けのリチウムイオン電池を生産していた北京の工場も閉鎖された。
東芝も年初、日本以外の世界のテレビ市場からの完全撤退を発表した。9月には、冷蔵庫や洗濯機、掃除機などの白物家電の生産と販売で、中国家電大手「創維」(スカイワース)と協力する方針を明らかにした。東芝の中国市場での冷蔵庫や洗濯機、掃除機などの製品の生産・販売は今後、創維が担当する。協力という名目だが、実際には、東芝は白物家電業務すべてを創維に引き渡した形だ。またTCL傘下企業は、東芝の中国でのテレビ事業部門である「東芝視頻産品中国公司」の株式を取得している。