ノーベル文学賞受賞者・大江健三郎氏のエッセイ集「定義集」の中国語版が2015年1月、新星出版社から出版された。同書の訳者である翻訳家の許金竜氏はこれまで、大江氏の多くの作品を中国語に訳してきた。南京出身の許氏は、40年あまり前は、南京の工場でガソリンにまみれて働く運転手だった。この40年あまりの間に、彼は一体どのようにして国内外に名を馳せる学者へと成長したのだろう?現代快報が伝えた。
▽文化大革命で中学を中退、その後日本語を学び始める
1952年生まれの許氏は中学1年生の時、文化大革命によって学校を中退。1975年、南京のプラスチック工場の運転手となった。当時、運転手、調理師、医師、解放軍兵士などは体裁がよい仕事と考えられていたが、許氏は他の労働者とは異なり、現状に満足せず、新聞を好んで読み続けた。
1977年、大学入試が再開されたが、中学を卒業していない許氏は大学を受験できなかった。それでも諦めきれず、夜間学校で日本語を学び、休みの日にも成賢街の南京図書館旧館に通い、資料を調べた。