実際のところ、工場での仕事に従事するまで、日本の就学前や学校教育のシステムは、学生に具体的な職業技能を教えることは無いが、あらゆるチャンスを利用して「匠の文化」を植え付ける。日本人は子供が小さい頃から技術を研鑽する楽しみを重視している。日本のテレビ局はブルーカラーの技術対抗番組を放送し、様々な技術の職人たちがその素晴らしい技を披露している。1959年より日本では毎年全国規模で技能五輪全国大会が行われ、地方都市からもブルーカラーの職人が選ばれ、彼らの達成感を高めている。
日本は技術や手工芸に優れた人々を「匠」と呼んで敬意を払っている。伝統的な技をもつ無形文化財保持者は社会各界から敬意を集めるだけでなく、しばしばメディアでも取り上げられる。日本の「文化財保護法」は工芸技術を保護の必要な無形文化財として定めており、文部科学省が指定する「重要無形文化財」の保持者は一般的に「人間国宝」と呼ばれ、内閣大臣と地方自治体からの表彰と勲章まで授与され、社会的地位はとても高い。
しかし「匠の精神を残していく」ことは発想や認識の上で問題があるといえるだろう。日本に関していえば、工業化時代の衝撃から「匠の精神」が残されたのではなく、工業化時代の競争の中で、「匠の精神」を育成し、発展させてきたのだ。
かつて、日本製も国際的に粗雑な作りの代名詞となっていた過去がある。例えば、第一次世界大戦の時に、日本がヨーロッパに輸出した洋服のボタンの一部はなんと糊のようなものでつけられていた。また第二次世界大戦後にも、一時期偽物の酒による人の死亡事件が起きている。
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