観光専門家の劉思敏氏は、「海外旅行市場が急速に成長していると同時に、中国人観光客の旅行スタイルも変化している。観光地をそそくさと見るスタイルの旅行者が減り、経験のある旅行者はじっくり型の旅行を選び、同じ場所に2-3度行って、現地の文化・習慣を体験するようになっている」と指摘している。
中国国内の観光地が「輸入代替」の役割
中国のアウトバンド市場が安定した成長を見せているものの、その成長速度は鈍化傾向にあるのは注目に値する。例えば、15年、中国のアウトバンド客数の増加率は初めて2ケタ台を割り、9.0%にとどまった。
魏氏は、「中国のアウトバンド市場の基数は当初、小さかったため、毎年大きな成長幅となっていた。しかし、今では基数が大きくなったため、成長速度が鈍化するのは当然のことだ」と分析している。
その他、魏氏は、「成長速度の鈍化は、世界経済の低迷にも関係している。ほとんどの国の経済が低迷しているため、中国のアウトバンド市場も必ず影響を受ける」との見方を示す。
渤海証券の報告によると、現在、海外の観光環境が不安定であるのを背景に、中国のアウトバンド市場の成長速度が鈍化し、一部の海外旅行の需要は、国内旅行へと転じている。中国国内のクオリティの高い観光地が「輸入代替」の役割を果たすことになりそうだ。
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