こうした状況の中、勝利を収めたトランプ氏は今後のTPP推進の可能性を公開の場で否定し、安倍首相にとって大きなマイナスとなった。劉副研究員は、「これは安倍首相の戦略全体が全面的に崩壊したことと同じであり、経済戦略も外交政策も含まれる。日本はアジアの、さらには世界の中の重要なエコノミーだが、小国であり、政治や経済では東西間をうまく立ち回らなければならない。日本にはそれほどたくさんの手があるわけではないので、TPPという概念を強調しなければならない。たとえ米国抜きでも、結果が出せなかったとしても、歩き続けるしかないのだ」と強調する。
ニッポンニュースネットワーク(NNN)の報道によると、安倍首相は参院のTPP特別委員会で野党議員の「猛攻撃」を受けたという。
劉副研究員は、「安倍首相は委員会で、トランプ氏がTPP離脱の方針を転換するかどうか『確信はない』と述べ、米国がアジア回帰戦略を本当にやめるかどうかは予測できないとしたが、日本がTPP法案の早期批准を推進する立場は変わらず、引き続き米国に説得を試みると述べた。その理由として、『トランプ氏との会談で築いた信頼関係には変わりがない』ことを挙げた」と指摘する。
▽一国でTPPを支えるのは困難
劉副研究員は、「TPPにとって、日本の役割は小さく、核心はやはり米国国内の政策的支持や各政党の態度、特にトランプ氏の態度だ。日本ができる最大のことはTPPの推進に努力すること、最後の抵抗を試みることだ」との見方を示す。
シンガポール大華銀行の全徳健シニアエコノミストは取材に答える中で、「米国が本当にTPPから離脱すれば、日本は加盟国の中では米国に次ぐ最大のエコノミーになるが、日本には米国に代わるだけの十分な力がないことはしっかり認識しなくてはならない。日本と米国を権威や推進効果の面で同日に論じることはできず、単に数字だけを見ても日本が米国の代わりになれないことは誰でも分かる。TPP加盟国の国内総生産(GDP)は世界の約37%を占めるが、米国が約23%を占めており、日本はわずか6%だ。米国を除く加盟国全体では14%にとどまり、TPPは影響力も地域で発揮できる役割も大いに割り引きされることになる」と述べた。
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