世界トップクラスの学術誌「サイエンス」が2日、中国人科学者による「複製欠陥のインフルエンザ生ワクチンの開発」と呼ばれる研究の進展について発表した。ウイルス複製を人工的に制御し、ウイルスを直接ワクチンに転化させる技術を発明したというのだ。この発見はウイルスのワクチン開発の概念を覆し、生ワクチンの重大な進展を実現した。科技日報が伝えた。
北京大学薬学院天然薬品・バイオ薬品国家重点実験室長の周徳敏教授、張礼和氏によるチームが同研究を行った。
同チームは、「インフルエンザウイルスを模型とし、ウイルスの完全な構造と感染力を留めた上で、ウイルス遺伝子の1つのコドンの突然変異で、インフルエンザウイルスを致命的な感染源から予防ワクチンに変える。また、3つ以上のコドンの突然変異により、ウイルスが予防ワクチンからウイルス感染の治療薬になる。さらに、コドンを増やすごとに効果が強まる。この『相手の力を利用する』技術により、ワクチン開発がシンプルになり、かつウイルス生物学の知識への依存から脱却することができ、ほぼすべてのウイルスに適用できる」とした。
周氏によると、チームが開発したのは生ワクチンであり、野生のインフルエンザウイルスの完全な感染力を留めている。ただし、人に感染した後の細胞内での複製、新しいウイルスを生み出す能力がなくなっている。この手段により、ウイルスが人に感染することで生じるすべての免疫原性(体液、鼻腔粘膜、T細胞の免疫)を留めながら、人への毒性を制御できる。この方法は、現在使用されている、免疫が一部に限られる生ワクチンと完全に異なり、弱い複製能力を留め毒性の危険がある不活化ワクチンとも異なる。この方法により、エイズ、SARS、エボラ出血熱など、ほぼすべての致命的なウイルスのワクチンと治療薬を作ることができ、国防安全への影響を防ぐための生物兵器を開発することもできる。(編集YF)
「人民網日本語版」2016年12月2日
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