中国では中高年の女性たちが広場や公園で「広場ダンス」を踊っている光景をよく見かけるが、それがなんと1000億元(約1兆7000億円)規模の市場になるとは、おばさんたちも想定外だっただろう。衣装や音響設備、動画放映設備、といった広場ダンスと直接関係のある商品だけでも、ショッピングサイト・淘宝での1ヶ月当たりの売上額が2500万元(約4億2500万円)を超え、オフラインでの売上額はざっと見積もってもオンラインの10倍あり、通年で総計約30億元(約510億円)になると試算されている。あるメディアの報道によると、中国で広場ダンスをしている人の数は約1億人で、広場ダンスの関連商品市場は1000億元規模の市場であると見られている。
広場ダンスは今、シルバー経済の新たなシンボル、入口となっている。一部の旅行社、消費品メーカー、銀行などは広場ダンスという「入口」を通して、おばさんたちの呼び込みに躍起になっている。旅行社と商業銀行は共同で、各地の広場ダンスコンテストに参加し、その後に観光を楽しむツアーを企画している。ダンス、美しい景色の鑑賞、資産運用の学習などはどれも不可欠な要素だ。
また、各種広場ダンスアプリも大人気になっている。オンラインとオフラインを組み合わせたスタイルで、ダンスを学んだり、交流したり、コンテストに参加するプラットフォームが登場しているのだ。
オンラインショップで「爆買い」する中国のおばさんたち
阿里巴巴(アリババ)の統計によると、今年1-9月期、50歳以上の中高年者のオンラインショップでの消費額は一人当たり平均約5000元(約8万5000円)で、一人当たり44個の商品を購入した計算になる。
実際には、一部の先進国では、高齢者にオンラインショッピングが人気となっている。日本も、オンラインショッピングの主力が高齢者だ。その理由は、時間にゆとりがあるほか、オンラインショッピングならわざわざ店まで行かなくて済むからだ。
1兆元(約17兆円)規模のシルバー市場は、誰にもはっきり見えるものの、触れるのは難しい大きな消費市場だ。財布のひもを握る中国のおばさん達は今、台頭する新興消費勢力の代表的存在となっており、この市場に参入するには我慢強さと注意深さが必要だ。
新技術が加わりシルバー経済に新たな波
店での買い物から、広場ダンス、ツアー旅行まで、おばさんらが主役の市場は盛り上がりを加熱させており、中国の第三次産業の付加価値が国民総生産(GDP)に占める割合は第二次産業の11.8ポイントを大きく上回る。そして、高齢者人口は2億3000万人に達している。
よく考えると、おばさん達の言動は、中国の経済のモデル転換、消費の高度化の流れともマッチしている。世界経済と中国経済は現在、テクノロジー革命の洗礼を受けており、「おばさん経済」も例外ではない。
世界に目を向けると、SNSサイトFacebookは今年5月、シニアに「孤独感」を解消してもらおうと、ライブ配信中に友達とチャットができる「Live Chat With Friends」と Facebookライブにゲストを呼ぶことができる「Live With」の2つの新機能を発表した。また、自動車メーカー・トヨタなどは、介護ロボットの開発に巨額の研究資金を投じている。今後は、新たな技術、供給が牽引するシルバー経済の新たな波が押し寄せることが予測される。
中国のシルバー産業も、新興経済とのマッチングを加速させている。スマート健康診断、スマート車椅子、遠隔健康モニタリングなどの新製品が次々に登場し、おばさんたちが一層便利な生活を楽しめるようになっている。
退職した高齢者は消費力であり、生産力でもある。中国のおばさん達の楽しい生活に対する欲求を満たすことが、中国経済にとって重要な一面となっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2017年12月1日
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