ベルギーが3対2で日本を逆転で破りベスト8進出 (撮影・田博川)。
奇跡は起こせなかった。後半ロスタイムの終了間際、ベルギーがカウンターから、シャドリ選手が日本ゴールに流し込み、勝ち越し。日本代表にとって、初のワールドカップベスト8進出の夢が潰えた。グループリーグ最終試合の後半では、フェアプレーポイントの差でセネガルを上回り、決勝トーナメントに進出する可能性が高いと判断した日本は、最終ラインでボールをゆっくり回して時間稼ぎをする作戦を取り、「消極的だ」と大ブーイングを浴びたが、決勝トーナメント初戦では2点を先制し、アグレッシブな攻撃を見せ、後半で逆転を許して敗北する結果となったが、サポーターからは試合後、健闘を称える拍手が惜しみなく送られた。日本のロシアワールドカップでの挑戦は、悲しみと喜びに満ちたものだった。中国新聞網が報じた。
6月28日のグループリーグ最終試合で、日本は0対1でポーランドに敗れ、勝ち点、得失点、得点、勝敗数など全てにおいてセネガルと並んだ。しかし、セネガルよりイエローカードが2枚少なかった日本はフェアプレーポイントの差で決勝トーナメント進出を決めた。これにより、日本は、ワールドカップ史上初めてフェアプレーポイントの差で決勝トーナメントに進むという歴史を作った。
試合後半で、相手チームも忖度する中、時間稼ぎをした日本には、決勝トーナメント進出には適していないという声もあれば、ルールを合理的に活用しているだけで、決勝トーナメント進出は全く問題ないという声もあった。しかし、その消極的な作戦はやはり多くの人々にとって受け入れがたかったようだ。
ゴールを決め歓喜するベルギーの選手(撮影・田博川) 。
しかし決勝トーナメント初戦のベルギー戦では、日本は前の試合とは全く違う積極的な攻撃を見せてくれた。まずは、後半開始早々の48分、原口元気選手がゴールを決め先制。その後52分に、乾貴士選手がミドルシュートを決め、予想に反して日本が実力の高い選手が集まるベルギー相手に2対0と試合を有利に進めた。その時、ベスト8進出に向けて主導権を握っていたのは間違いなく日本だったといえる。そして、誰もが、日本はカメが首を引っ込めるように、2点を死守する作戦に変え、試合終了のホイッスルを待つと思っていた。
なぜなら今回のワールドカップ開幕前、ベルギーの世界ランキングは3位だったが、日本は61位と、その間には58もの差があった。また、代表メンバーの年俸にも大きな差があり、ベルギー代表23人は合計7億5000万ユーロ(1ユーロ=約129.10円)であるのに対して、日本代表は合わせて7500万ユーロ、その差は10倍だった。このように実力が明らかに劣る日本が予想に反して2点を先制したため、誰もが引き続き猛攻を続けるとは予想していなかったのだ。
2点リードしながらも攻撃の手を緩めなかった日本 (撮影・田博川) 。
ところが、日本は守りに入るどころか、引き続き攻撃に多くの選手を送り込み、さらなる追加点を狙った。しかし、この勇気ある作戦は結局、あまりにも痛ましい代価をもたらすことになった。まず69分、ゴール前でベルトンゲン選手がヘディングシュートを決め2対1に。そして続く74分、交代で入ったフェライニ選手が同じくヘディングでねじ込み同点に。さらに、後半ロスタイムの終了間際、シャドリ選手が逆転ゴールを決め、そのまま試合終了となった。シャドリ選手が決勝点を決めたのは、本田選手がフリーキックで相手キーパーを強襲した後だった点は注目に値する。ベルギーはコーナーキックを防ぎ、そのままカウンターでゴールを決めたのだ。
チャンスを逃した日本はわずか20分の間に、まさに天国から地獄への転落を味わうこととなった。2点を先制した後も、すぐに戦術を変更しなかった点について、日本の西野朗監督は試合後のインタビューで、「その後もオフェンシブに戦えていた。3点目という気持ちが強くなり、チャンスもあった。ボールをコントロールできる時間帯もあった。しかしそのタイミングでベルギーが本気になってしまった。今日のミーティングでも、本気にさせたベルギーと戦いたい、そのためには、自分たちはフルパワーで戦う必要があると選手たちに伝えていたが、最後、あそこまで覆させられるとは思っていなかった。本気のベルギーがそこにあった」と悔しさをにじませた。
日本対ベルギー戦 (撮影・田博川) 。
グループリーグ最終試合の最後の約10分間、選手全員を後退させ、最終ラインでパス回しをして時間稼ぎを指示した西野監督が、決勝トーナメント初戦では、前試合の汚名を返上するかのように、2点をなんとか死守する作戦には出なかったことは注目に値する。また、「延長は考えられなかったか?」との質問には、「あの時間帯にフリーキックとコーナーキックの流れがあった。決められなくても延長勝負と思っていた」と答えた。実力では劣る日本が強豪と渡り合い、さらにリードしたあとも果敢に攻撃を続けたその姿勢に、サポーターは大きな拍手と称賛を送った。
試合終了のホイッスルが鳴った時、乾貴士選手はその場に崩れ落ちた。日本の選手たちはまだ目の前で起きたことを受け入れることができなかったことは明らかだった。乾選手が2点目のゴールを決めた時には、初のべスト8進出に大きく近づいていた。しかし、結局、欧州の「赤い悪魔」と呼ばれるベルギーにその夢を打ち砕かれてしまった。こうして日本のワールドカップロシア大会の旅は、ロストフナドヌーで幕を閉じた。
ブーイングを受けながら決勝トーナメントに進み、その数日後には、大歓声を受けながら帰路に就くことになった日本。ワールドカップの4試合で、日本は大きな喜びと大きな悲しみ、ブーイングと大歓声を経験した。ゴールキーパーの川島永嗣選手が試合後に、「ここまでたどり着けたのも悔しい思いがあったからこそ。この経験がまた、背中を押して、新たな景色を見させてくれるはずだ」と語ったように、日本サッカー代表にとって実り多い経験となったに違いない。(編集KN)
「人民網日本語版」2018年7月3日
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