08年の国土形成計画は、「近年、雨の降り方は局地化、集中化、激甚化している」と明確に指摘し、15年の国土形成計画でも、「さらに今後、地球温暖化に伴う気候変動により、水害、土砂災害が頻発・激甚化することが懸念される。地球温暖化に伴う気候変動の影響とみられる水害、土砂災害等の頻発・激甚化、火山災害や大規模事故等の発生を経て、安全・安心に対する国民意識が高まりを見せている」としている。
残念ながら、日本では豪雨が原因の災害が想定されているものの、それに対応するための行動は遅れており、今月の西日本を襲った豪雨は、多くの人の命と財産を奪い、そこから得られる教訓を真剣に考慮する必要がある。
今回の水害は、日本の地方のインフラが「災害に強いしなやかな国土」にはまだほど遠く、地震や水害などの大自然災害に対する防御能力は十分でないことを露呈した。特に、日本各地にある橋やダム、堤防、トンネル、公共の建物の多くは、高度経済成長期に作られたもので、すでに50年以上の月日がたっているため、老朽化しており、改修や作り替えが急務となっている。
今回の水害で死者が最も多く出た広島県では、各地で土砂崩れや大規模な土石流が発生し、住宅が押し崩されたり、土砂に覆われたりした。日本メディアの報道によると、広島市北部では14年にも同様の土砂災害が起き、それ以降、同市では土留めの建設が始まったものの、対象面積が広く、まだ完成していない間に今回の水害が起きてしまった。
次に財政が不足し、対策に手が回っていない。予測されている豪雨による水害を防ぐための行動が遅れている根本的な原因は、投入資金の不足、はっきり言うと、そこにほとんど資金を使うことができていないことにある。地方と都市にある差という問題を解決するために、日本では70年代末から90年代末にかけて「国土維新」を推進し、地方公共事業の拡大、政府の地方財政に対する資金投入の増加などを行い、公共事業予算額は78年の5兆5000億円から、97年には9兆8000億円にまで増えた。
21世紀に入って以降、日本の財政危機が深刻化し、02年に当時の小泉純一郎首相が「小さな政府」を目指す改革に取り組み、公共事業予算の削減が始まった。その後の政権もその流れを引き継ぎ、巨額の国債と財政赤字の圧力の下、公共事業予算を削減し続け、12年にはその額が4兆6000億円にまで縮小した。そして、「小さな政府」という立場を踏襲しながら、「地方創成」をもスローガンにする安倍晋三首相が政権を握って以降のここ数年もその額は6兆円前後となっている。
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