【第116回】ストライキ( 総論) (2)
ストライキに関する法規定の欠如は、ストライキ対応実務の無秩序現象をもたらします。つまり、ストライキについての必要な法的制限が不足しており、ストライキ中の合法的権益について、企業が法的救済を得ることは難しいと思われます。一方、日系企業にとっては、ストライキ、特に中国におけるストライキへの対応経験がほぼない中で、対応の慌しさ、対応原則のなさ、対応ミスの連発など、労務管理上のウイークポイントが露呈することになりました。また、労使ともこれまで日常の賃金協議に関わる経験が明らかに不足している中で、ストライキという緊迫な場面において、交渉の方法論さえ合意できない以上、お互いにとってはまともな交渉が不可能に近いといえます。結局、このような状況の下、企業側が労働者のパワーに圧倒され、地方政府の指導、ひいては命令下で労働者に歩み寄りを強いられる可能性があると考えます。
ストライキについての法的位置付け、中国共産党の政策上の指針、および各地方政府の実務は、必ずしも明確な回答はありません。企業にとっては、このような厳しい現状の中で、安易に交渉相手に頼るのではなく、自らの力で企業の正常経営を守ることが大切でしょう。今回の総論を踏まえ、本連載は次回以降、法律論、実務論、対策論という流れで説明を行っていきます。
作者:周暘 段和段法律事務所パートナー弁護士(早稲田大学法学研究科卒 法学修士)
作者:高嵩 段和段法律事務所パートナー弁護士(北京大学法学部卒、元北京第2中級人民法院裁判官)
「人民網日本語版」2012年12月17日
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