「愛国主義は多様な価値観に門戸開放すべし」中国紙
南京大虐殺75年周年に当たる13日、30万人に及んだ犠牲者を追悼するイベントが開催された。これは、愛国主義にとっての「無形の」活動でもある。愛国主義が奏でる旋律は、決して大きいボリュームではないが、そのメロディは極めて深遠だ。環球時報が報じた。
中国は、落後し屈辱を受けた状態から、世界で大きな力を持つ国家への発展を遂げた。その結果たどり着いた今日の地位から、過去75年間を振り返り、また、未来を展望した時、我々中国人は感無量の気持ちでいっぱいになる。国恥の傷は今も癒えないものの、我々は国の変貌ぶりをしっかりと感じると同時に、中国人自身の複雑な変化も経験してきた。祖国に対する中国人の「愛」という包みには、過去には入っていなかった色々なものが加わった。
70数年前、中国人が「愛国」と言えば、自国が民族滅亡の危機にあったため、愛国主義とは中華民族の生存を守ることを意味し、「背水の陣」で臨む悲壮感に満ち満ちていた。中国の国歌は、当時作られたもので、「中華民族最大の危機」という本筋があり、中国人の感情を長い間支配するものであった。
現代史の100年は、中国人にとって、有史以来最も心に深い印象が残る100年となった。その上、その間の出来事は、中国人が自ら経験し、中国人の現代世界観の土台を築いた。中国人の集団心理が、この現代に作られた「恥辱」という枠組みから抜け出すことは、極めて難しい。中国人は、少なくとも最近の数世代の人々は、そのような心理状態を転換する必要性は皆無だと固く信じていた。
しかし、改革開放と中国の急成長は、中国人の集団心理に、多様化と不規則性をもたらした。中国人が過去の出来事を忘れることはあり得ないが、新たな経験も大量に流れ込むようになり、過去の記憶と混ざり合って化学反応を起こし、物理的な覆いがなくなった。中国人の愛国主義にも、それに伴い変化が生じた。
今日の愛国主義は、世界第2の経済大国・中国として全く新しく生まれ変わった土台の上に築かれている。慌ただしく変動はするが確固とした中国の立ち位置は、過去・現在・未来に連なり、中国人が過去に持ち得なかった新しい思想が駆け巡る空間となっている。多様化は、成長を止めることができない春の新緑のようにぐんぐんと広がり、愛国主義にも極めて独特な多様化が生じている。過去の愛国主義を単純な加減計算だとすれば、今日の愛国主義は複雑な微分積分といえよう。