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【第118回】ストライキ(実務論)

 前回は、ストライキに関わる法律論を説明しました。今回は、明文法上規定は存在しませんが、ストライキ問題に対する実務論(政策的な観点を含む)を紹介します。

 中華人民共和国建国以来、中国共産党は労働者のストライキ問題に対して、「奨励はせず、努めて防止する」態度で臨んできました。その理由として、社会主義条件下における労働者と資本家の矛盾は、人民内部における矛盾であることから、ストライキの方法を採る必要はなく、かつストライキ自体が人民の利益に反するものであるからです。

 改革開放以降、中国共産党と政府は、ストライキ問題について公に意見を表明したことはないものの、政治上合法性の根拠付け(キーワード:「労働者階級は先鋒部隊組織である」)や社会の安定性(キーワード:「すべてのものに安定を」)を考慮した観点から、多くの地方政府は労働者のストライキに対して、「ストライキを認めるが奨励はせず、適切な方法で事態の拡大を防ぐが中止は強制しない」態度で臨んできました。

 地方政府は、ストライキ中に労働者から出された合理的で実行可能な要求については受け入れるように企業に指導します。一方、労働者の非合法、不合理な要求はいうまでもなく、合理的かつ合法だがすぐに要求を受け入れられないものについては、地方政府が支持しないのは、一般原則であると思われます。

 以上のような政策的な執行のしたでは、労働組合、地方労働行政部門、地方公安の実務上の対応は、以下の通りになります。

 1.企業労働組合は、労働者と企業を結びつける協調的な存在である以上、ストライキのような対抗手段を通して関連要求を行うものではありません。一方、ストライキが発生した場合、企業労働組合が労働者を代表して、企業と平等な協議を行う役割を果たす必要があります。企業労働組合の管理組織である地方労働組合は、労働者側の要求の合理性を中心に意見を提出し、労働者の協議行為を指導します。したがって、基本的には協議の際に、地方労働組合が協議の立会人となることが多いですが、場合によって、地方労働組合が労働者の代言人として直接協議に参加することも見られます。これに対して、平等な協議を経て、企業が労働者の要求を負担できない場合、地方労働組合は労働者側を説得する立場でもあります。

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