ドキュメンタリー番組の放送時間が年間6000時間増加
「舌尖上的中国」以降、一大ブームを巻き起こし、社会現象になるようなドキュメンタリー番組が中国では登場していない。しかしその裏で、中国のドキュメンタリー番組は資源の再編やプラットホームの拡大など、大きなターニングポイントを迎えている。
中国国家新聞出版広播電影電視(ラジオ・映画・テレビ)総局は昨年、改正版の「娯楽番組制限令」を公布し、恋愛・出会い系の番組、才能や芸能を競う番組、感情的なストーリー番組などに対する制限を加えた一方で、1日平均30分以上中国産のドキュメンタリー番組を放送するようにと明確に指示した。衛星テレビの34局が全てこの基準で放送したとすると、ドキュメンタリー番組の放送時間が年間、6000時間も増加する計算になる。張教授は、「政府の強力なバックアップの下、ドキュメンタリー番組市場は今後、必ず発展の春を迎える」と期待感を示す。
13年、中国のドキュメンタリー番組産業は「高度成長期」に入り、年間生産規模が15億元(約247億円)、市場規模が22億元(約363億円)をそれぞれ超えた。ドキュメンタリー番組の運営も企業化が進み、民間の参加が大幅に増加した。例えば、良友文化伝媒が製作するドキュメンタリー番組「記録時間」は14年の元旦に、テレビ局23社で放送され、うち4社が衛星テレビ局、地上波テレビ局が19社だった。同社は現在、テレビ局30社と提携している。またインターネットメディアなどの新メディアが自主製作するミニドキュメンタリー番組が今後のドキュメンタリー番組の発展の方向となると見られている。
生き残りのための課題も山積み
近年、中国ドキュメンタリー番組は、生き残りをかけた戦いを展開し、工業化生産などのスタイルを取り入れ、活気を得始めている。ただ、バラエティ番組の爆発的人気が立ちはだかり、ドキュメンタリー番組は今後も厳しい戦いを余儀なくされるだろう。
現在、中国ではドキュメンタリー番組の生産能力に欠け、供給が需要に応じきれないという問題が表面化している。プラットホームの増加により、この課題は14年さらに浮き彫りとなるだろう。その根本原因は人材の不足だ。現在、テレビプラットホームが市場で圧倒的な立場を占め、製作会社はあまり利益を出すことができない。そのため、クリエイティブの面で優位を誇る製作会社も「製作の委託」というスタイルの中でその実力を発揮することができない。ドキュメンタリー番組の配給権や放送権などはあまりに安価で取引され、業界の優秀な人材流出につながっている。そして、優秀な人材が流入してくることもない。また、同調査によると、回答者の48%がドキュメンタリー番組とは何かを「知らない」と答え、「舌尖上的中国」を見たという回答者の4分の1が、同番組がドキュメンタリー番組であることを「知らなかった」と答えた。中には、同番組を「テレビ番組」、「ドラマ」、「映画」と思っていた回答者もいた。張教授は、「ドラマやミニ番組と比べると、ドキュメンタリー番組の認知度はまだ低い」と指摘している。 (編集KN)
「人民網日本語版」2014年3月26日