学位は博士(早稲田大学)で、現在は独立行政法人理化学研究所発生・再生科学総合研究センター・細胞リプログラミング研究ユニット・ユニットリーダーである小保方さんは今年1月、「Nature」誌に、「外からの刺激で体細胞を初期化することにより、全ての生体組織と胎盤組織に分化できる多能性を持った細胞(STAP細胞)を作製する方法を世界で初めて確立した」と発表した。人類は、これまでこのような万能細胞をずっと探し求めてきたものの、多くの科学者が「不可能」としてきた。そのため、小保方さんのユニットが本当にSTAP細胞の作製に成功したのであれば、その意義は想像をはるかに超えている。これらを背景に、「Nature」誌に小保方さんの論文が掲載されると、日本のメディアはそれを一斉に報道し、政治家が「日本の誇り」と絶賛すると、メディアは「またしても日本人」、国民は「やっぱり日本人」と歓喜した。
しかし、歓喜もつかの間。同論文にはすぐに世界から疑問の声が投げかけられた。衝撃的だったのは、小保方さんの論文中でも最もポイントとなっていた実験手法に関する約900字、10行ほどの内容が、ドイツの研究者J. Guo氏らが2005年に発表した「マウス胎児性幹細胞のマルチカラー核型分析」の論文の一部とほぼ一致している点だ。下の図で2人の論文を比較することができる。赤文字が一致している部分で、黒が異なる部分だ。
よく見ると、異なっている部分も「(EDTA)」を「EDTA」に変えるなど、表示方法が異なっているだけか、「For the FISH procedure」を「For FISH」にするなど重要でない部分を短縮させているだけだ。また、原文の「KCl」が「KC1」となる誤りも含まれているから滑稽だ。筆者は、どこのメーカのものかは分からないが、光学文字認識(OCR)ソフトの精度の問題ではないかと見ている。
J. Guo氏らの原文はここをクリックすれば見ることができる。名前からして彼はおそらく華人だろう。08年以降、J. Guo氏は中国人の同僚らと数々の論文を発表してきた。今回、論文がコピーされたことを、J. Guo氏が知っているかは定かでない。中国国内で、関連の報道はまだない。しかし、小保方さんらの研究の結論が正確であるかは別として、コピーは科学界で最もモラルに反する行為であるため、科学者である小保方さんは、少なくともJ. Guo氏に謝罪すべきではないだろうか。(編集KN)
「人民網日本語版」2014年3月20日
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