4月2日未明、息子を想い、まんじりともしない一夜を過ごす周さん |
「お母さん、もっと強く生きて」-湖北省荊州市に住む、脳のがんに侵された7歳の男の子・天天くんは、いよいよお別れというその時、尿毒症の母親に自分の腎臓を提供し、母の命を救った。2日未明、天天くんは武漢の病院で静かに息を引き取った。彼の左腎は母親に、右腎と肝臓は2人の若い患者にそれぞれ提供され、3人の命が救われた。新華社が報じた。
○天天くんの遺言:「僕はお母さんを助けたい」
周璐さんは湖北省荊州市出身で、30歳を少し超えている。2011年11月、体調を崩した周さんは、病院で検査を受け、両腎臓の機能がかなり弱っていることが分かった。
「災いは重なるもの」だ。その半年後、周さんの息子・陳孝天(天天)くんに、脳腫瘍(脳のがん)が見つかった。天天くんは武漢の病院で腫瘍摘出手術を受けたが、数カ月後に再発した。
3月27日、天天君は治療のため、武漢161病院神経外科病棟に移った。同院に移った後、一時、昏睡状態に陥った。神経外科の程新富・科長は、「天天くんがこちらに移って来た時、がん細胞はすでに大脳に転移しており、摘出手術は不可能な状態だった」と述べた。
天天くんの病状が悪化するのと同時に、母親の周さんの病状も悪くなった。武漢同済病院の担当医師は、「周さんの命を救うには、腎臓移植手術以外に方法はない。だが、ドナーが見つからない状態が続いている」と話した。
天天くんの祖母・陸元秀さん(54)は、「天天の腎臓を移植して、母親の命を救うことはできないのでしょうか」と医師に尋ね、「その場合、回復する見込みはかなり高い」との返事を得た。
お姑さんの意見に、周さんは猛反対した。しかし陸さんは、「天天の腎臓があなたに移植されたら、あなたは彼の命を引き継いで、一緒に生き続けることができるのよ」と、粘り強く嫁の周さんに言い聞かせ、周さんの実家の家族も巻き込んで説得にあたった。
すべてを分かっている天天くんも、「僕はお母さんの命を救いたい!お母さんを守りたい!」と訴えた。
周さんはとうとう、眼に涙を浮かべて納得した。子供から母親への臓器提供は見事成功した。