2010年3月2日、トヨタの豊田章男社長は米国下院議会の公聴会で謝罪すると、すぐさま中国へ移動し、メディア発表会を開催して、フロアマット、アクセルペダル、制動装置の問題について説明するとともに、中国の消費者に対して公開の場で頭を下げて謝罪し、問題から逃げなかった。またトヨタの成長のスピードが速すぎたこと、品質のコントロールが不十分であったことを認めるとともに、問題の発生を確認した時に重要なのは隠さないことであり、顧客の安全を優先順位の一番目に置き、現地の法律に基づいて適切な市場対策を取り、問題発生の原因を必ず深く掘り下げて検討し、再発防止に務めなければならないということを認めた。
豊田社長が中国に来たのは、米国の公聴会で涙ながらに謝罪したのとは異なり、ただ火消しに来ただけではないかという声もあるが、豊田社長の態度や事故発生後にトヨタが取った措置は、中国の消費者やメディアにトヨタは消費者に誠意を尽くす多国籍企業だと感じさせるに十分なものだった。
トヨタの事故発生後、業界はトヨタが再起不能になるのではないかと見守った。米国と中国は世界の二大市場であり、トヨタにとっても最大の海外市場だ。製品に重大な問題が起きたトヨタが泥沼を抜け出せるかどうかに注目が集まった。トヨタは確かに市場で一連の反発を受けたが、世界で最も有名で最もブランド価値の高いトヨタが取った誠意ある態度は、世界最大の自動車企業の名に恥ずかしくないものだった。トヨタは逃げ隠れせず、問題にまっすぐ向き合い、消費者の信頼を獲得し、難関を乗り切り、速いペースで世界一の座に駆け上った。
それに比べて今のフォードはどうか。同じく100年の歴史をもつ多国籍自動車ブランドが、品質の欠陥という問題に遭遇した時に取った態度は、トヨタとまったく違う。
13年上半期にクーガのオーナー達が初めてシャフト破損に遭遇してから現在まで、フォードのムラーリー最高経営責任者(CEO)が中国に来て謝罪するのはもちろんのこと、アジア太平洋地域や中国エリアの責任者、または長安フォードの上層部でもよいから姿を見せて謝罪すれば、中国の消費者は理解を示すと思われるが、フォー74ドはお高くとまって、欠陥について決して頭を下げようとしない。中国の消費者のことは眼中にないといえる。