社会の競争が激しくなるにつれ、中国において子供のいない既婚女性は厳しい就職環境・職場環境に直面してきた。女性は妊娠・出産期に通常通りの仕事ができず、しかも長期間の産休をとるため、多くの企業は子供のいない既婚の女性に対して内心懸念を抱いていた。一方、一人っ子政策下では、すでに子供のいる女性は今後産休をとる可能性が無いため、それほど敬遠されなかった。しかし、夫婦の一方が一人っ子の場合、2人目の子供の出産が認められる「単独二孩」政策が実施されたことで、子供がいる既婚女性もそれほど優遇されなくなった。多くの企業がはっきりとは言わないものの、心の中で「子供は1人だけ?それとももう1人産むつもり?」と疑問を投げかけている。北京晩報が伝えた。
▽女性の求人:30代なら駄目、50代ならOK
北京市雍和宮の人材市場で取材したところ、某有名ホテルが管理職とサービススタッフを募集していた。そこへ、30代と思われる女性が訪れ、履歴書を渡した。ロビーマネージャーに応募するという。ホテルの採用担当者は「年齢は?お子さんは?」などといくつかの質問をし、女性は「子供がおり、子供の世話は両親がしているため、仕事には差し支えない」と答えた。すると担当者はすぐさま「数年以内に2人目を産む予定は?」と尋ね、求職者の女性もすぐに「その予定はありません」と答えた。しかし担当者はその「口約束」を信じたわけではないようだった。申し訳なさそうに履歴書を女性に返すと、「あなたもお分かりでしょうが、こちらとしては、やはり男性か、もう少し年齢が上の女性を募集したいと思っていまして…」と語った。
しばらく観察していたところ、このホテルは若い女性を拒否した一方で、50代のすでに定年退職したおばさんを採用していた。このような女性はもう子供を産むことがなく、企業側が社会保険を支払う必要もないのだ。
▽2人目妊娠で降格、減給も?
記者の友人、高さん(女性)はこのほど、国家機関所属の事業機関の就職試験を受けた。高さんの筆記試験の成績は1位、面接もうまくいった。しかし高さんは面接後、心配そうに「多分無理だと思う。筆記試験の2位は30代の男性で、子供も2歳。全く負担が無い」とつぶやいた。周りの友人がいくら慰めても、高さんは「面接の時、担当者は私のこれまでのキャリアよりも、私個人の問題ばかり尋ねてきた。一人っ子かどうかも尋ねられた。今後子供を産むかどうかを心配しているんだろう」と話す。結局、高さんは採用されず、筆記試験で2位だった30代の男性が採用された。
記者は企業の人事担当者ばかりが集まるQQ群(チャットグループ)に参加しているが、昔は女性社員の妊娠・出産の問題が話題に上ることは少なかった。しかし、「単独二孩」政策が実施されてからというもの、こうした問題が顕著に増えた。「もし妊娠中の女性社員が転属に応じない場合、どうしたらいい?」「2人目妊娠の産休の待遇は、1人目のときと同じにすべき?」――。グループ内では熱い議論がかわされており、中にはどうやって2人目妊娠中の女性社員を合法的に降格させ、給料を下げるか、さらにはいかにして自主的に退職させるかといった方法を詳しく教える人もいた。
▽企業側にも悩みが
職場で女性を差別するのはもちろん悪いことだが、企業側にも悩みがある。某テレビ局で働く女性は、「この業界は仕事がきつい。私の部門には女性社員が4人いるが、うち2人が2人目を妊娠している。私たちはシフト制だが、2人が産休をとると、半年から1年間休むことになる。しかし定数枠があるため、私達は新しい社員を募集することができない。一体どうすればいいのだろう?」と語る。(編集SN)
「人民網日本語版」2014年6月25日