中国は、広大な土地と豊かな物産を擁しているが、その広大な国土ゆえに、地域間の違いをめぐる論争が絶えず繰り広げられてきた。春節(旧正月)が来ると、南方の人と北方の人は、餃子の食べ方をめぐって喧々諤々と意見を交わし合う。端午節には、「南方の人が塩辛い粽を食べ、北方の人が甘い粽を食べる理由」をテーマに論争が巻き起こる。「豆腐脳(あんかけ豆腐)は甘くあるべきか、それとも塩辛くあるべきか」の論争は、中国から海を渡り、米ホワイトハウスの公式陳情サイトにまで波及した。米「サイエンス」誌にこのほど発表された、米中両国の心理学専門家による共同研究がきっかけとなり、この話題をめぐる世論が再び盛りあがった。生命時報が伝えた。
米バージニア大学、北京師範大学、華南師範大学、米国ミシガン大学の心理学専門家が、中国南部・北部の6都市から希望者を募ってアンケート調査を実施した。その結果、小麦の生産地域である北方に住む人々は、独立心が旺盛で、理性的な思考を得意とし、個人的な発展を重視する傾向が高かった。一方、水稲栽培が盛んな南方の人々は、集団主義的な意識が非常に強く、姻戚関係を重視する。つまり、南方の人の「団結心」は、北方の人に比べてかなり強い。研究者はこの現象について、「水稲を栽培するには、大きな面積の田んぼを灌漑し、溝を掘って用水路を造り、水利工事を行う必要があり、大勢の人々で協力し合って、初めて作業が完成する。一方、小麦の栽培は、適度な降雨に恵まれさえすれば、隣近所と助け合う必要はない」という「ライス(米)理論」を提言した。
この研究結果に、多くの人が疑問の声を挙げた。「我々だって、団結力は極めて強い」と多くの北方の人が反論する一方で、「我々がすぐに人間関係(コネ)を利用したがるなんて、一体誰が言ったのだ?」と不服を申し立てる南方の人もいた。米ハーバード大学歴史学部博士課程の華鋭氏は、これについて、「現代社会の大きな特徴のひとつとして、文化の急速な変化と人口の大規模流動が挙げられる。古代の生産様式の違いから、今の南方と北方の違いの原因を導き出すことは、『木に縁りて魚を求む(木に登って魚を捕るようなもの:方法を誤れば目的は達せられない)』の感がある。また、東北地区や西北地区でも、古くから水稲栽培が行われてきた歴史がある」と指摘した。