第三に、集団的自衛権のスムーズな行使のための戦略的な準備を進める。集団的自衛権の正式容認後も、安倍政権には多くの仕事が残っている。集団的自衛権を具体的にはいかに行使するか、いつ行使するか、集団的自衛権行使の法律的根拠と具体的な範囲をどう定めるかなど、詳しい内容と細則について、一連の手続き上の準備が必要となる。安倍内閣は現在、集団的自衛権の行使にかかわる法律の改正と整備の準備を加速しているが、改正対象の法律は、「自衛隊法」「周辺事態法」「武力攻撃事態法」など10本余りに及ぶ。だが法改正にはまず、国会での審議を経る必要があり、野党による牽制は免れ得ない。関連法の改正案を国会で一挙に通過させるためには、関連法改正の理由を十分に示す必要がある。安倍政権はそのため、「中国脅威論」の支配的なムードを醸成し、「中国の威脅」がすでに危険なレベルに達していると日本の社会と世論に信じさせ、この世論の圧力の下、集団的自衛権容認反対の党派に「中国の脅威」を事実と認めさせ、関連法の改正案を国会でスムーズに通過させようとしている。
第四に、国際社会と国際世論の理解さらに「同情」を得て、集団的自衛権の容認に国際社会の支持を取り付ける。安倍政権による集団的自衛権容認は、日本国内での関心が高いだけではなく、国際社会からも注目を受けている。日本は、第2次世界大戦の侵略の歴史を徹底的には反省せず、敗戦に甘んじずに侵略史の修正をねらっている。侵略という過去の歴史と、歴史に逆らう現在の態度とは、集団的自衛権の容認という日本の危険な動きに対し、アジア太平洋地域とりわけ日本周辺の隣国の不安と警戒を生んでいる。こうした疑いを晴らすため、日本は、国際社会の注意を中国に向けようと、「中国による東中国海での防空識別圏の設置は国際航空の自由と安全を損なう」「中国の国防費が急増している」「中国は他国の海洋権益を侵犯している」などの主張を繰り返している。その目的は、「日本の集団的自衛権容認は、中国などの脅威からの防衛には仕方ないことだ」と国際社会に信じさせ、「日本が危険な状況にある」「中国が脅威を与えている」という立場によって集団的自衛権容認に国際社会の理解を取り付けることにある。
だが日本がいかに「中国の脅威」をあおろうとも、「中国の脅威」が集団的自衛権容認を推進したと納得させることはできない。「賊喊捉賊」(泥棒が泥棒を捕まえろと叫ぶ)は日本の常套手段であり、国際社会や国際世論はこのような嘘に軽々しく騙されたりはしない。誰が脅威をもたらしたか、誰が不安定をもたらしたか、誰が第2次大戦の勝利の成果と戦後の国際秩序を転覆させようとしているか、誰が侵略の歴史を否定しているか、誰が世界の潮流に逆らおうとしているか、誰が軍事覇権国家になろうとしているかは、国際社会も国際世論もよく知っている。日本が隣国の脅威をあおればあおるほど、日本が他国に脅威を与えようとしていることが明らかになる。「脅威」は外部からではなく、ほかならぬ「安倍」自身から来ているのだ。(文:厖中鵬・中国社会科学院日本研究所研究員)(編集MA)
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「人民網日本語版」2014年7月23日