一方で、日本経済の低迷が20年にもおよび、民衆が落ち着きをなくし不安な心理でいることが、権威的存在の登場を後押ししたとの分析もある。こうした心理は安倍氏に対するメディアの黙認も招いた。
「変革を図る国は、活路を開けない時には強い政府を必要とする。安倍氏は国内の全ての不満を外国に発散して、視線をそらさせている」と、中国現代国際関係研究院世界経済研究所の陳鳳英所長は指摘した。
■報道の良心はどこに
日本メディアもかつては政権を非難することがあった。
中日国交樹立前、佐藤栄作氏の反中は日本メディアの大きな批判にさらされた。ニクソン「頭越し外交」訪中後、佐藤政権は日本世論の一致した強い非難の下、退陣を余儀なくされた。
小泉純一郎氏も同様に、メディアの圧力の下、難を免れられなかった。小泉氏に対するメディアの評価は「貧富の格差を拡大し、東アジア外交を破壊した」というものだ。小泉氏が頻繁に亡霊を参拝している問題について、朝日新聞は「小泉氏は時代の歯車を回転させたが、軌道から外れた歯車もある」と批判した。昨年9月に安倍氏がアジアの人々の感情を顧みず、頑なに靖国神社を参拝した際、読売新聞は12月25日付社説で亡霊参拝という安倍氏の愚かなやり方を厳しく批判。「これによって安倍氏が今後厳しい追及を受けるのは必至だ」と指摘した。朝日新聞も翌日「日本が置かれた環境を見れば、首相の靖国参拝は国益を損ねる行動だと言わざるを得ない」「参拝は戦後日本の礎を壊しかねない」とした。
だが、こうした実事求是の報道精神は安倍政権に踏みにじられてすでに満身創痍だ。「以前は日本の民衆の知る権利は、明らかに現在よりも守られていた」と呂氏は指摘。「どの時期においても、社会には世論の動向が存在し、それには鮮明な時代の影響がある。これはとても現実的な問題だ」と陳氏は指摘した。
社会の公器として、日本メディアは一日も早く職業倫理を取り戻すべきだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2014年7月27日