日本政府は5日の閣議で、2014年版防衛白書を了承した。505ページに及ぶ白書は「日本を取り巻く安全保障環境」「日本の安全保障・防衛政策」「日本の防衛のための取組」「防衛力の能力発揮のための基盤」の4部構成。安倍政権発足後の一連の安全保障政策と防衛体制の変更についてまとめ、今後の防衛政策・方向の重大な転換を確認した。
中国国防部(国防省)新聞事務局は同日「日本側は事実を顧みず、中国の軍事力発展、東中国海防空識別圏、中日軍用機『異常接近』、東中国海問題、南中国海問題などで中国側に対していわれなき非難を加え、企てをもって中国の脅威を誇張して、自らの軍事・安全保障政策の変更、軍備拡張の口実としている。中国側はこれに断固反対する。防衛白書の具体的内容については現在精査中であり、適当な時期にさらなる意見表明をする」と表明した。
■憲法の束縛から脱するため安保危機を誇張
白書は憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認した閣議決定について「歴史的な重要性を持つ」とした。だがアナリストは「日本の民衆と国際社会に過去1年間の安保・防衛動向を紹介する防衛白書が、平和憲法の拘束から脱するための詭弁の道具に変質している」と指摘する。
白書は日本周辺の安全保障環境に言及する際「危機感」を際立たせ、「日本を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している」「領土や主権、経済権益などをめぐる、純然たる平時でも有事でもない、いわゆるグレーゾーンの事態が増加する傾向にある」と偽りを記した。白書は「統合機動防衛力」の概念、「水陸機動団」創設による離島防衛の強化、サイバー防衛隊の新編など、防衛理念、防衛体制、軍事力再編、装備強化面で日本の打ち出した一連の重要な措置を詳しく紹介した。
今年の白書のもう1つの特徴は、各国との防衛交流・協力の強化、地域、多国間安保協力における日本の役割などに関する記述が大幅に増えたことだ。これは集団的自衛権の行使容認後、日本を地域に影響力ある軍事大国にしようと企てる安倍政権の野望を反映している。
日米安保体制については、これまで同様にその重要性を改めて表明すると同時に、日本が自らの防衛能力を強化し、シームレスな防衛態勢を築く必要性を強調した。東南アジア諸国との防衛協力に関する記述も著しく増加。2013年版白書はインドネシア、ベトナム、シンガポール、フィリピンとの防衛交流・協力を挙げただけだったが、今年はラオス、カンボジア、ブルネイ、ミャンマーを含むASEAN10カ国をカバーした。
日本駐在のある韓国人ジャーナリストは人民日報の記者に「日本は周辺環境が厳しいとわめき立て続ける一方で、日本自身に存在する問題については省察しない。安倍氏が重要な隣国である中韓といまだに首脳会談を開催できていないことが、物事の本質を力強く物語っている」と語った。
別のあるベテランジャーナリストは人民日報の取材に「安倍内閣が日本を取り巻く安全保障環境は日増しに悪化していると大げさに宣伝するのには計り知れない企みがあり、日本が軍備を拡張し、防衛政策を見直し、平和憲法の拘束から脱するための世論づくりが目的だ」と指摘した。
共同通信も5日、もし日本が近隣国との関係改善を顧みず、抑止力、軍事的措置の強化をひたすら追求すれば、日本自身がアジアの不安定要因と見なされかねないと指摘した。
■「中国の脅威」を大げさに宣伝、安倍氏の野望のための口実作り
白書は各国の紹介で「中国」に21ページを割いた。これは「米国」の8ページを遙かに上回り、「朝鮮半島」の17ページも上回っており、中国を「重視」していることがはっきりと示された。白書は引き続き「中国の軍事的不透明性」「国防費の急増」といった決まり文句に加え、東中国海と南中国海での中国の海洋活動を「既存の国際秩序と相容れない」非難した。
白書は「わが国周辺海域における最近の中国の活動」「わが国周辺海域における最近の中国の活動」「中国機に対する緊急発信回数の推移」「尖閣諸島(中国名・釣魚島及びその附属島嶼)周辺領海への中国公船の侵入回数」などの図表も多く配置しており、日本が白書を通じて国内外の世論を欺き、ミスリードし、悪意をもって「中国の脅威」を公然と大げさに宣伝することで、安倍内閣の軍事的野望実現のための口実をつくる考えであることは明らかだ。