二.譚 晶華先生
今年の全国日本語本科生卒業論文の文学組の審査を通じて、下記のよう感想を二三述べさせてください。
1.文学応募作十本のうち、古典文学研究論文は四本、近現代文学研究論文は六本で、長さがそれぞれ1万字から約10万ン字までの程度です。論文の注釈、参考文献、先行研究などの規範性が昨年と比べたらまた進歩を見せたようで、各大学の指導教師の重視や効果のある指導と密接な関係があると思われます。
2.研究論文のテーマは古典文学に和歌、伝説、謡曲における「野守の鏡」のシンボリズムへの考察、「万葉集」の露と唐詩との比較研究、清少納言の「自己満足」への論述や近松門左衛門の「心中」ものにおける元禄時代の大坂庶民像への考察があり、近現代には安部公房の研究が二点、林芙美子.与謝野晶子.樋口一葉と吉本バナナなどの女流作家の研究論文が四点です。これで分かるように、現在の学部生に安部公房の実存主義、超現実主義などのモダニズム研究や女性作家の創作や比較文学への興味があり、テーマの選定は割と集中されているようです。これから指導教師の指導のもとでもっと幅広くテーマを選ぶことができます。今度の元禄時代の「曽根崎心中」を通して元禄時代の義理、人情、金銭の葛藤を中心に、文化的側面から大阪庶民像への論証は独創性が感じられ、よくできた論文だと思います。また、作家創作の比較の研究論文は近頃流行っているが、そのようなテーマを選定する場合、指導教師は比較文学の基本理論や方法を学生に分らせる努力が必要です。
3.今回の21号の文化的視点から「野守の鏡」を考察する論文は一等賞に授けました。この論文は本文の方、約7万字、注釈や附録資料を入れると計109ページ、10万字近くになりました。筆者の努力は認めるが、最近の学部生の古典論文がますます長くなり、修士論文は勿論、場合によっては、博士論文の規模にも達し傾向を見せいます。学部生の4年間の勉強時間が限られていて、ほかに学ぶべき基本知識がたくさんあるから、卒論を書く期間に、3万字以内で独創性のある高質の学部生なりの論本を作成してほしい。ここにあえて提言をし、各指導教師が改めて考えて、ご支持を願います。