米連邦準備理事会(FRB)はこのほど、10月いっぱいで量的緩和第3弾(QE3)に伴う資産購入を終了することを決めた。これは、国際的な資本の流動性が正常に戻り、これまで米国から新興市場に流入していたクロスボーダー資金の方向が変わることを意味する。中国への影響は避けられない。経済日報が伝えた。
▽中国の金融政策も微調整か
対外経済大学金融学院の丁志傑教授は「中国は、米国のQE終了がもたらす影響に対応することができる。中国経済が安定的に成長を続け、正しい措置を講じる限りは、問題ないだろう」との見方を示す。
QE終了の影響が真っ先に現れたのは人民元レートだ。10月30日、人民元対米ドルレート(中間値)は1ドル=6.14157元となり、前取引日から52ベーシスポイント下落した。人民元の下落はこのまま続くのだろうか?丁教授は、「ドル高は今や市場の共通認識となった。しかし、このすう勢を決定付ける根本的な要素はやはり米国経済の先行きだ。現在のところ、ドル高は段階的なもので、これが本格的なすう勢となるかはまだ観察が必要。これまでの経験から言うと、QE2が終了した時もドル高傾向になり、相対的に元安が招かれた。現在、人民元レートは均衡水準に近づいており、今後の情勢は中国経済のファンダメンタルズを見る必要がある」と指摘した。
今年第3四半期のデータを見ると、中国経済のファンダメンタルズ、財政・金融状況、国際収支の状況は比較的安定している。10月30日のデータによると、2014年第3四半期、中国の経常収支が5017億元の黒字、資本・金融収支が5021億元の赤字となり、国際準備資産は4億元減少し、収支のバランスがとれていた。中国国家外為管理局国際収支司の管濤司長はこのデータについて、「中国の国際収支の自主的バランス構造の実現に有利であり、中国人民銀行(中央銀行)のマクロ調整改善、金融政策の操作余地拡大に有利な条件が整った」と指摘する。
第3四半期の資本・金融収支の赤字拡大は、QE終了の予想を反映したものだったが、丁教授はこれで国際収支にコントロール不能なほどのアンバランスが生じることはないと予想する。
しかし、米国の金融政策が正常に戻った後、中国は穏健な金融政策を堅持するという前提の上で、わずかな調整を行う可能性がある。民政証券研究院の管清友・執行院長は「QE終了により、中国の外国為替資金残高の減少傾向が強まり、中央銀行の資金投入ルートの転換が推進されるだろう。来年も、借り換え、担保付き補完貸出(PSL)、短期流動性ファシリティ(SLF)といった貸出ツールが引き続き頻繁に使用されると見られる」と指摘する。
もちろん、QE終了がもたらすものがリスクばかりとは限らない。丁教授は「QE終了に対応するため、中国の金融政策もリスクヘッジを行う余地が多くなり、これは中国の金融政策の自主性回復にとって積極的な意味を持つ」と指摘する。(編集SN)
「人民網日本語版」2014年11月3日