少し前の日本は違った。2009年9月、民主党政権が誕生し、鳩山内閣が打ち出した東アジア共同体の構想は当時、日本の今後の発展方向となるかと思われた。すなわち、中韓など東アジア各国との協力を強める一方で、日米関係を再構築するというものだ。鳩山氏は、日本とアジアの発展、および東アジア共同体の実現には中国の力が不可欠であり、中日関係を強化すべきと信じていた。しかし残念なことに、中国との急接近および、普天間基地移転問題で米国にたてついたことなどが、米国「親分」の逆鱗に触れてしまった。圧力をかけられた鳩山氏は、首相の座を降りる羽目になった。
それ以来、日本と中国およびアジアとの距離は次第に離れていった。中日韓を含む東アジア共同体の構想はTPPに取って代わり、日本は米国の懐に戻っていった。今や、中韓両国はすでに自由貿易協定(FTA)の締結で大筋合意に達している。韓国側の情報によると、年内の仮署名と来年初頭の本署名を経て、来年中の発効を目指すという。一方、日本はまだTPP交渉の最中にいる。
米国は自国の求めるものが何かを良く分かっている。TPPは「アジア太平洋における米国の経済競争力を維持するために不可欠」であるため、オバマ大統領は全力で交渉を進めている。最近、オバマ氏は日本などに対し、「TPP交渉の行き詰まりを打開」するよう何度も訴えている。日本の抱えるプレッシャーは大きい。なぜなら、行き詰まりを打開するためには、日本は極めて敏感な問題である農業分野で妥協しなければならないからだ。
日本は本当に自国の利益とは何かを分かっているのだろうか?もちろん、米国にどこまでも付いて行くことが日本の利益だと確信している人もいるのだろう。米国に付いて行けば、日本はいつまでも「右」に偏り続け、強大な日本を取り戻すことができると。
実際は、様々な見方はあれど、世界第3の経済体である日本は、米国「親分」の傘の下から抜け出せないのだろう。
自国の求めるものが何か、日本は分かっているのだろうか?この問題に答えるのは、思ったほど簡単ではない。(編集SN)
「人民網日本語版」2014年11月15日