中国科学技術大学の呉恒安教授、王奉超副研究員と、ノーベル物理学賞受賞者である英マンチェスター大学のアンドレ・ガイム教授らの研究チーム、およびオランダ・ナイメーヘンラートボウト大学の研究者による研究結果がこのほど、ネイチャー(電子版)に掲載された。これによると、研究チームは、グラフェン・窒化ホウ素などの2次元ナノ材料に陽子透過性があることを発見。燃料電池のコア部品である「プロトン(陽子)伝導性膜」にこれらの材料を応用することで、燃料電池の画期的な進歩が実現する可能性がある。人民日報が伝えた。
燃料電池は、燃料が持つ化学エネルギーを、電気化学反応によって直接電気エネルギーに変換する装置で、▽エネルギー変換効率が高い▽充電が必要ない▽汚染物質の排出がゼロ――といった多くの利点を備え、幅広い応用可能性を有する。しかし、燃料電池のコア部品である「プロトン伝導性膜」は燃料透過性などの面で問題を抱えており、大規模な応用が制限されていた。
呉教授は、「これまでは、いかなる気体分子、流体分子も無欠陥のグラフェンシートを透過できないと考えられていたが、今回の研究により、陽子は比較的たやすくグラフェンや窒化ホウ素などの2次元ナノ材料を透過できることが明らかになった。さらに、温度を高める、もしくは触媒を使うことによって、透過のプロセスは顕著に速まる。これらの材料をプロトン伝導性膜に採用することで、より薄く、効率的かつ安全で、環境にやさしい燃料電池を製造することができる」との見方を示す。(編集SN)
「人民網日本語版」2014年12月1日