近年困難に直面している中日関係だが、「一衣帯水」と言われる両国には、平和を愛し、交流・対話を訴える人々が確かにおり、両国の友好と関係発展に向けてたゆまぬ努力を続けている。中でも、両国交流の促進の過程で欠かすことのできない役割を演じているのが、民間の友好機構・団体である。日本財団傘下の笹川日中友好基金はその一つだ。人民網が伝えた。
最大の中日民間交流基金である笹川日中友好基金は設立25年以来、幅広い分野で中日友好交流事業の促進に力を尽くしてきた。人民網はこのほど、笹川日中友好基金の運営委員長で日本財団の理事長を務める尾形武寿氏を単独インタビューし、同基金の交流事業の実施状況や中日交流に対する氏の見方をうかがった。尾形氏は、交流の最大の意義は両国民が自らの体験を通じて相互理解を深めることにあり、こうした交流は子々孫々にわたって受け継いでいかなければならないと訴えている。
▽25年で延べ2万人の相互訪問を組織
尾形氏によると、笹川日中友好基金の設立目的はごく単純なものである。中日関係は非常に重要な二国間関係であり、中日両国の相互理解と両国の子々孫々にわたる友好は、民間交流によって促進されなければならない。同基金が設立されたのは1989年12月。当時、激しく変化していた国際情勢は中国にとって非常に不利に働いていた。西側諸国は中国に経済制裁を科していた。日本も最初は中国への円借款を凍結する措置を取ったが、まもなく世界に先駆けて中国への経済制裁を解いた。中国を世界で孤立させるべきでないと考えたためである。
日本財団の初代会長である笹川良一氏はこうした状況下、中国を支持する立場を公にした。当時の中国国際友好連絡会は担当者を日本に派遣し、笹川氏の立場表明に感謝を表した。中国側と日本財団はこれをきっかけに、交流と接触を重ね、100億円規模の交流基金設立で合意した。笹川日中友好基金はこうして、当時の中国の王震・国家副主席と笹川良一氏の立ち会いの下で正式に設立された。
設立当初、同基金の規模は50億円だった。1992年の天皇訪中で中日関係はさらに発展し、その翌年、日本財団は50億円を増資し、基金の規模は100億円を突破した。同基金は設立から現在まで、最大規模の中日民間交流基金となっている。この25年で同基金が実施した交流活動は340回余りを数え、相互訪問者数は延べ2万人近く、事業経費は約30億円にのぼっている。